第7話 登山妖精、万事快調

   ☆


「また一緒に、山をやる――よね? あ、もちろん二人でだよ!」


 「……うん」


 知らず、私は頷いていた。


   ・


 果たして、ミヤは満ち足りるのだろうか。

 エベレストを登り未踏峰を踏みしめて。

 その道を振り切り、それでもなお、私を選んで。


 あるいは。私は思う。

 あるいは私は、添え物なのかも知れない。

 水面に彩りを添える、浮き草なのかも知れないと。

 主たる魚を引き立てるだけの。


 それでいいのだろうか。


 ――違わない。それでいい。


 やっと確かめた思いに、もはや驚きはない。

 今は、この思いに従うとしよう。

 魚より浮き草が長く生きることもあるだろうから。

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