キミのカッコいい姿を見ていたい


「はぁー……はやくバイト終わんねぇかなぁー……」


「――いらっしゃいませぇー……って、ええッ!?」


「来ちゃった」


「来ちゃったじゃねーだろ!? な、なにしてんの?」


「だってこれ終わったら一緒にデートだから、ここで待ってようかと」


「いやいや、それはないわ。恥ずかしいし、やめろって……」


「あれ、いいの? 私お客さんだよぉ?」


「くぅームカつくぅー……こちらにどうぞ!」


「――何になさいますか?」


「っぷ、敬語だぁー」


「帰れ」


「お・きゃ・く・さ・ん」


「ぬぬ、お客様、ご注文はお決まりでしょうか?」


「ふふっ、はい、えーと――」


「――かしこまりました。少々お待ちくださいませ」


「ねえねえ」


「何?」


「今更だけど、その制服姿カッコいいね」


「そりゃどうも」


「惚れちゃいそう」


「もう惚れてんだろ?」


「そっか。じゃあ、惚れ直した」


「はいはい、んじゃ、できるまで待ってて」


「はーい」


◇◇◇


「――ったく……勝手にバイト先来やがってぇー……」


「いいじゃーん、別に。なんだったら私のバイト先来てもいいんだよ?」


「メイド喫茶なんてぜってぇーいかねぇ! つーか、行ったところでお前を辱められないしな」


「うん、まあ私は平気かな」


「ほらな」


「でもさ、今日バイト先で働いてる姿見てたけど、意外と新たな一面っていうか私の知らない部分があってよかったなって思った」


「そっか。でも、もう来るの禁止な!」


「えぇーなんでぇー」


「恥ずかしいからに決まってるだろ……彼女に働いてる姿見られるなんて……」


「ふふっ、わかったわかった。もう来ないから」


「うん、ありがと――」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る