輝く月が照らす夜に……

「――どうした? ベランダに出てこいなんて」


「あっ、ああーちょっ、ちょっと話したなぁーと思ってなっ!」


「まあいいけどさーそれなら別に電話でも、メッセでもいいだろ?」


「わっ、私は直接会って話がしたいんだよっ!」


「ふうん、じゃあそれだけのお話ってことだ?」


「ちょっ、ハードル上げんなって……」


「んで、話って?」


「えっ!? あっ、えっとー……ほっ、ほらっ! 見てみろ! つっ、『月が綺麗だな』」


「え? あぁ、そうだな。今日は晴れてるし、満月ですごく綺麗だな」


「いや……そうじゃなくてだなぁー……」


「はぁ?」


「ちょっ、ホントにわかってないのかよ……全くコイツはー!」


「何が言いたいんだよ? 言いたいことはハッキリ言えって」


「くぅー……『月が綺麗』と言えばだなっ――」


「あっ、もしかして――」


「おっ!?」


「『I love you』ってか?」


「分かってんじゃねーかッ! だったら、最初っからそう言えよおおおッ!」


「いや、それ実際は言ってねーから、分かりづらい」


「そんな屁理屈言ってないで! んでっ、答えはッ!?」


「は、何の?」


「だーかーら、私はアンタを愛してるッ! その答えはッ!?」



『私はアンタを愛してるッ!』



「ヒャッ!? お前、なにしてッ――」


「へへーバッチリ録音させてもらいました!」


「まさかお前……分かっててやったなぁー!?」


「あったりめーだろ? お前の思考なんて、バレバレだっつーの」


「……このやろおおおおおおおおお!」


「「「「「うるせぇッ! 今、何時だと思ってんだッ!」」」」」

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