第54話 リハビリ再開?

 今回は少し「リハビリ記録」らしいことを書きます。


 ここのところエッセイにばかりかまけていたのですが、近いうちに小説を書くことになるかもしれません。


 そもそも筆を休ませている理由は主に2つあります。まず1つにアイディアが浮かばないこと。もう1つに、取材&執筆がしんどいこと。


 そうであればこそ「共作がしたい」なんて言い出したわけです。他人のアイディアを借りてプロットを考えて、執筆はまた他人に任せる。そうすれば、自分が大好きなプロット作業だけを楽しめるという寸法です。


 そんなわたしにうってつけとも言える自主企画がはじまりました。書き手の間では有名なあの「筆致は物語を超えるか」の第2弾です。


 この企画ではなんとあらかじめ主催の方があらすじを用意してくださっているわけです。やったー。他人のアイディアを借りてプロットが考えられる、というわけです。


 この企画シリーズを知ったのは第1弾が終了してからのことです。ちょうど気分がどん底の時期だったので、企画そのものを見落としていたのですね。後々になって参加作を読み、おもしろいことをやってたんだなあ、次があったら参加してみようかなとぼんやり考えていました。


 そんなわけで第2弾が発表されてすぐ構想にとりかかっています。最初は、それこそリハビリのつもりで、最低限、自分に書けるものを書こうと思っていたのですが……いざ、考えはじめてみると無駄に入り組んだプロットになってしまいました。現時点で5000字くらいあります。本編がどれだけの文字数になるか考えたくもありません。あんまり長いものを書ける気はしないですし、長くても10000字前後に収まってくれると助かるのですが。


 とまれ、アイディアにはかなり自信があります。おそらくネタが被ることもないでしょう。わたしにしか書けないプロットを考えたつもりです。「筆致は物語を超えるか」というのが企画趣旨ですが、「プロットが筆致と物語を超える」ことを証明する作品にできればと考えています。


 路線としてはKACシリーズ……特に「真夏の夜の……」の流れを汲みつつ、より自分らしく、よりミステリ度を上げたものになる予定です。なんだかんだでほとんど書いたことがない「本格ミステリ」に挑んでます。


 そんなにハードルを上げて大丈夫か、と言われそうですけど、なんとかします。たぶん。ここに書いた以上は引き返せないので頑張ります。


 それにしても、わたしはつくづく縛りがないと書けないタイプのようです。問題設定があればこそアイディアが生まれてくるというか……アイディアなんてものは才能ではなく技術の領分だ、というのが自論なのですけど、そのコツはやはり問題設定を設けることなのでしょうね。


 縛りというのはたとえば、今回の企画がそうであるように物語の骨組みであったり、あるいは本格ミステリというルールであったり、エンタメ的な要請だったり、ある一定のリアリティだったりするわけです。縛りが多ければ多いほど発想の方向性が見えやすく、話が組み立てやすい。好き勝手書こう、という構想はかえって書きづらいものです。


 尤も、縛りにすべてをゆだねるのもそれはそれでよくない。これはエンタメだから、本格ミステリだから、と自分が書きたいことを諦めるべきではないのです。たとえば、エンタメの要請に全面降伏した、あるいは完全に同調したような作品は得てして底が浅く、退屈なものになりがちです。


 縛りに対して「自分」をいかに通すか。そのスリリングな試みこそが作品を輝かせるのだと思っています。要は弁証法であり、アウフヘーベンですよ。


 さて、「筆致は物語を超えるか」の話はこれくらいにして――


 近況ノートの方でお知らせしたように、リレー小説の企画を考えています。開催時期は未定なのですが、年内にはできればなあ、と。


 最初は主催不参加の形も考えたのですけど、趣旨が特殊過ぎて、主催が先頭ランナーとして設定と方向性を提示しないと絶対に成立しない企画になってしまいました。これも縛りが多いのでかえってプロットは考えやすかったのですが、企画趣旨上、他の参加者が決まらないことにはもうこれ以上は身動きが取れが取れないかなあと。あとはぶっつけ本番になるので不安が拭えません。趣旨説明もだいぶ長くなりそうです。他の企画で間をつなぎつつ、細部を詰めて行ければなあと。


 ああ、あと小説とは違うのですけどカクヨムコンの開催に合わせて疑似エッセイ「カクヨムコン空想体験記」を公開しはじめるかもしれません。内容としては、カクヨムコンに参加しているという体で、参加作品(未発表)について語るというものになる予定です。


 この企画を考えてて気づいたんですけど、疑似エッセイって一番書くのが楽な形式かもしれません。エッセイの気軽さと、フィクションの自由さがあり、それでいて一定程度のリアリティを保つという「縛り」があるのでとにかくプロットが組みやすい。フィクションの作劇法を用いて、気楽でおもしろい読み物にできればなあと考えています。


 長くなりましたが、最後に旧作の公開予定です。およそ1か月間続けてきた「砂漠より」ですが、いよいよ明日でフィナーレです。エンタメどころか、作者の中では小説ですらない鬱々とした話で、公開をはじめた頃は誰も読んでくれないんじゃないかと思っていたのですが、何名か根気の強い読者さんがいらっしゃるようで、とても励みになっています。ありがとうございます。ありがとうございます。


「砂漠より」のあとですが、別の中編の連載がはじまる予定で、これは「砂漠より」の後だからこそ読んでほしい話になっています。その他詳しくは随時更新される「戸松秋茄子全作品完全ガイド(仮)」の「発表予定」をご覧ください。

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