第18話 情報量を持て余さないこと

 創作で大切にしたいこと。書き手のみなさんならありますよね。わたしの場合、最も気を付けているのが情報量を持て余さないことだったりします。


 言い換えるなら、適切な語り口の選択ですね。その物語に見合った文体と構成を見極め、簡潔に、無駄なく描く。それがわたしが理想とする創作です。


 逆に言えば、他人の作品を見ているとその点がおろそかになっていて苛々することがままあります。これはプロの作品でもそうですね。特に長編は情報量を持て余しているなと感じることが多い。そもそも他人と自分とでは創作で大切にしていることが違うのでしょう。他人から見れば、わたしの作品もどこかルーズで苛々させられるものだったりするかもしれません。


 では、情報量を持て余すとはどういうことなのか。


 たとえば心理描写。よく小説の強みは心理描写だとされますが、そうとも限らないと思います。それは観察力と造形力と構成上の必然があって初めて意味を持つからです。わかりきったことをくどくどと追認するだけの「心理描写」にどれだけの意味があるでしょう。共感させたいのでしょうか。しかし、新鮮な視点のない共感ほど退屈なものはありません。


 そんなわけで、わたしは場合によっては心理描写をばっさりカットして書きます。その方が物語にとって適切だと考えれば、躊躇なくそうします。それが情報量を持て余さないことになるならば。


 何やら創作論めいた内容になってしまいました。他にも細かいこだわりがあるのですが、今回はこの辺にしておきましょうかね。 

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