第15話 取材は捨材のためにある?

 どうも、取材なんて必要なさそうなものしか書いてない戸松です。そもそもが現代ドラマ書きですからね。歴史ものを書いてる人に比べたらそりゃあ楽をしてるでしょう。そこに疑いの余地はありません。


 しかし、本当に何も調べずに書いてるかっていうと、もちろんそんなはずもなく、むしろそもそもの学力がない以上、他人様がソラで書けるような内容でもあらためて勉強しなければならなかったりします。ええ。これでもいろいろ調べながら書いてるんですよ。あんまりその成果が反映されてるとは思いませんけど。


 そもそも取材って半分くらいは「現実なんて知ったことか」と居直るためにあると思うんですよ。わたしも構想を温めているときはいろんな本を読んで勉強したりしますけど、その中で使える内容ってほとんどないんです。むしろ、構想を通そうとしたら邪魔なものばかり目に入ってくる。そこでとことん現実に寄せるのも1つのスタイルでしょう。しかし、わたしはどっちかというと、現実に目を瞑るタイプです。「ああ、そうかい。現実がそうだろうと知ったことか。自分は自分の書きたいものを書く」と、そんな感じですね。


 じゃあ、取材がまったく無駄かっていうとそうでもなくて、「使わないことを確認するために読む」という行為はそれはそれで重要だとも思うのです。この辺、うまく説明できないのですが、何か物を知っているのと知らないのとでは嘘のつき方にもおのずと違いが出てくると思うのです。具体的には、何も知らない状態であればあるほど、それっぽい嘘をつこうとしがちな気がするのです。逆に、物を知っていれば、無茶な嘘を堂々と通せる。そんな気が。そして、どちらにより説得力があるかと言うと、それはだいたいにおいて後者なんです。ですから、取材が無駄なんてことはない。そう思います。

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