第6話 読書遍歴を語る
最近、また本を読むようになりました。一時はもうこの世に自分が読みたい本なんてないとまで思ったものですが、探せば案外見つかるものですね。最近読んで面白かった本を挙げると、『対岸の彼女』、『おはなしして子ちゃん』、『怒り』、『夕暮れ密室』、『13・67』といったあたりでしょうか。
さて、読書です。どうでしょう。みなさんはどういうきっかけで本を読むようになったでしょうか。わたしはというと、ごく単純な理由からでした。というのも、学校に持ち込める娯楽が他になかったからなんですね。
当時のわたしは、諸事情あって精神が荒みに荒んでおり、休み時間の喧騒が苦痛でしょうがなかったのです。そんな中、精神を別のことに集中させてはどうかと思いつき、本を手に取ったのでした。『13階段』という江戸川乱歩賞受賞作の文庫本でした。
すると、これが面白いじゃないですか。わたしは当初の目的も忘れ読書にのめり込んでいきました。クリスティー、チェスタトンと、ジャンルがミステリに傾いていたのは、当時心の支えにしていた漫画『スパイラル~推理の絆~』の影響です。こうしてわたしは小説、それも特にミステリ小説に傾倒するようになったのでした。
他に思い出の本を挙げると――
たとえば、作者が『デスノート』の原作者大場つぐみではという噂が立っていたので読んだ『GOTH』。主人公二人の造形に共感するあまり、何度も読み返すことになります。
新本格ミステリへの入門となった『翼ある闇』。内容があまりにも衝撃的で、新本格はみんなこのくらい破天荒なんだろうと思い込むことになりました。
海外ミステリにはまるきっかけになった『心の砕ける音』。海外にも自分と同じように考え、生きる人間がいるんだと初めて実感したのがこの作品でした。
900ページにも及ぶ分量を一日で読破した『赫い月照』。作中に満ち満ちた瘴気とも言うべき独特の迫力に圧倒されました。
他にも『記憶の果て』、『フリッカー式』、『クビキリサイクル』、『密閉教室』、『夏と冬の奏鳴曲』、『TOKYO YEAR ZERO』、『ビッグ・ノーウェア』、『おれの中の殺し屋』、『“菜々子さん”の戯曲』、『さびしがりやのロリフェラトゥ』などなど、枚挙に暇がないのですが、特に印象が鮮烈だったものを選んで紹介してみました。全体としてはやはり広義のミステリ小説が多いですね。SFや純文学も読みますが、ハイファンタジー、恋愛ものなんかはほとんど触れず通ってきたかも。実際、苦手意識が強いので……あと、数年前から実用書、ノンフィクションの類も読むようになりましたが、学がないせいか、あんまり専門的なものは目が滑ってまともに読み通すことができなかったりします。
しかし、つくづく実感するのですが、やはり自分にとって重要な本との出会いは10代から20代前半に集中するものですね。最近は面白いなと思う本があってもそこまで印象に残ることがなくなってきました。本が読めなくなったのは、もしかしたら、そういうところにも原因があるのかもしれません。若人よ、いまのうちにたくさん本を読もう! それが君の基礎を作ってくれるぞ!
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