空色決定人(仮)
蒼唄
第1話 どうぞ、お見知り置きを
カタカタカタ、ガッチャン。
僕の一日はこの音から始まる。
音の正体は即時文書送信機から吐き出される日々の指示書だ。これがないと僕の仕事は務まらない。送信元がどこかなんて知らないけど別にそれで不自由もしてないし気にもしてない。強いて言うならもう少し遅い時間でもいいんじゃないかとは思っている。
未だ覚醒していない体を無理やり起こし紙に目を通す。送信されたらすぐに取り掛からないと世界の均衡が崩れるらしい。あの人が言ってたけど僕にはなんのことか分からなかった。今もわからないんだけどね。
指示書には今日僕が作るべき色見本が載ってあって、僕は絵の具を混ぜて言われた通りの色を作る。ちなみに今日は白みがかった青。戸棚から白と3種類の青絵の具を取り出してパレットにとり混ぜる。最初の頃は絵の具を出しすぎたり,調合を間違えて無駄にしたりと色々やらかしたが流石にそんなヘマはしない。僕も成長したのである。
混ぜ終わった色を見本と比べてチェックしたら手元の羊皮紙にサッと塗りつけ送信機で送り返す。
これで僕の一日の仕事は終わり。目覚めてから10分も経ってないと思う。
この作業さえ終わればあとは自由にしていい。給与は現物支給。ということになっている。
まぁ、自分で言うのもなんだけど簡単な仕事だと思う。コツさえ掴めば誰にでもできるというか、
え、結局お前はなんの仕事してるのか分からない?言ってなかったっけ?
あぁ、そう。
これは申し遅れました。私、空色決定人をしております。どうぞお見知りおきを。
空色決定人(仮) 蒼唄 @Aouta0609_litera
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