つぶあんドーナツ 0.5点


 ヤマザキパンといえば「あんこ入りパン」である。代表的なものを紹介する。


 小倉ぱん。こしあんぱん。

 山崎製パン株式会社が販売している「袋パン」のエントリーモデル。老若男女に愛されているヤマザキパンを象徴するあんこ入りパン。まさに国民的菓子パン。


 高級つぶあん(栗入り)

 これを1個食べれば肉体労働であっても3~4時間は耐えられる。

 別名・完全無欠パン。

 357キロカロリーに対して脂質は約4グラム。トランス脂肪酸は公称0グラム。たんぱく質は約10グラム。もはや健康食品といっても差し支えない。山崎製パン株式会社における「あんこ系パン」のフラッグシップモデル。

 袋をあければすぐに食べられる。手や口のまわりが汚れない。カロリーメイトや一本満足バーなどのエナジーバーは工業製品である。そっけない。同じ100円程度で買える高級つぶあん(栗入り)を食べたほうが文化的である。腹持ちだって良いはず。


 薄皮つぶあんぱん。

 あんこ系パンの異端児。パン生地の比率に大してあんこの割合が高い。

胃もたれするほど甘ったるいにもかかわらず、目の前に5個入りの『』があると、食べるのを止められなくなる。つぶあんのみならず、同シリーズにはカスタードクリームやらチョコクリームやらピーナッツクリームを用意している。薄皮のパン生地をおかずにして「あんこ」や「クリーム」をむさぼる。イカれたコンセプト。パンク精神。ヤマザキパンだけに。


 つぶあんドーナツ

 奇跡の逸品である。「食べる覚醒剤」の異名をもつ。

「おい。ハルヒ──しっかりしろ」

 おれが呼びかけても返答がない。ひとくち食べれば、我らが強気っ娘である涼宮ハルヒでさえ惚然とするほどだ。締まらない口元のまま、ハルヒは虚ろな瞳を宙に泳がせていた。さっき『つぶあんドーナツ』を食べ終えたばかりだった。

「ふぇぇ──だめですぅ──もうそれ以上は──だめぇぇっ」

 朝比奈さんは白目を剥いていた。うわごとをつぶやいている。

 あんこを包みこんだソフトドーナツ生地を油で揚げたものに、さらにシュガーフロスト(粉砂糖)をたっぷりふりかけている。そりゃあ天にも昇るような快感だろうよ。かぶりつくと、ドーナツ生地はしっとりやわらく、フロストシュガーも巻き込んで脳髄をとろけさせる。オルガスムス。

「……ビクッ!……ビクッ!」

 長門の顔をめずらしく紅潮していた。おでこからこめかみかけて瑞々しい汗が滴り落ちている。長門、おまえが汗を掻くところを見たのは初めてかもしれん。やまない痙攣のせいでメガネがずり落ちそうになるのを何度もかけ直している長門有希。くちびるをギュッと結んで、なにかに耐えるように長門は打ち震えていた。

 そして、つぶあんドーナツを食べた古泉一樹は──えげつないことになっている。股間が。なにかで濡れていた。独特のにおい。割愛する。

 おれも『つぶあんドーナツ』を食べることにした。表面のフロストシュガーを中指ですくい取って、たっぶり付着した白いものを歯茎に擦り込んみる。コカイン(じゃなくて)フロストシュガーの甘みによっておれはエレクトした。興奮さめやらぬうちにドーナツにかぶりつく。中心部のあんこが舌に触れた瞬間──トリップ現象が生じた。ヤマザキ『つぶあんドーナツ』の糖分と脂分の配合比率は、ヒトの脳内麻薬をドバドバ分泌させるトリガーの役割を果たす。おれはハイになった。


 ・・・・・・・


 きょうもSOS団はにぎやか。つづく。


 商品名『つぶあんドーナツ』

 今回の獲得シール 0.5点

 累計 23点

「白いフローラルディッシュ」獲得まで、あと2点

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