チョココロネ 0.5点

 きょうは珍しいものを買ってきた。

「もぐもぐ……チョココロネってたまに食べたくなるんダヨー」

 ハルヒはどうやら気に入ってくれたようだ。ん? なんか語尾がおかしくないか?

 チョココロネ。おれがいつも立ち寄るコンビニでは見かけることが少ない。すぐに売り切れてしまうのか、そもそも入荷しないのか──おれにとってはレアなヤマザキパンだった。

「ふぇぇ……おいしいですぅ。ヤドカリみたいなカワイイ形のパンにチョコクリームがたっぷり詰まっていて、量もちょうど良くて……わたしは大好きダヨー」

 朝比奈さんは、ヤドカリみたいなカワイイ形の「底」の部分から食べ始めていた。ミルクチョコクリームとパンをまんべんなく味わえる。語尾、おかしくないですか?

「長門はどうだ? チョココロネは食べたことあるのか?」

「はじめてダヨー」

 なんだ、その語尾は? 長門は、はみだすミルクチョコクリームをぺろぺろ舐めていた。

 ちなみに。チョココロネを上手に食べるコツは──ヤドカリの底のほうから食べ進めてミルクチョコクリームが露出したらてっぺんのパンをちぎってそれをミルクチョコクリームにつけて食べればいい。まんべんなくチョコとパンを口内調味して食べられる。パン生地はどっしり歯ごたえがあってモチモチ感もあって、うまい。ほぼ完璧な菓子パンである。

「チョコとパン。くせになる組み合わせダヨー。辛党の僕でさえ、あっというまに食べちゃったヨー」

 古泉、おまえもか。たのむから悪ふざけはやめてくれ。

「遠慮しないで……キョンもチョココロネを食べなヨー。ガマンするのは身体に毒ダヨー」

「おい、ハルヒ。さっきから変な語尾をつけて遊んでいるようだが……テレビか何かで流行っているのか?」

「あんたもチョココロネを食べればわかるはずダヨー」

「キョンくん、淹れたての熱いコーヒーを召し上がれダヨー」

「情報統合思念体によって造られた対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース。それが、わたしダヨー」

「お腹がすいてないのなら、僕に譲ってもらえたら嬉しいんダヨー」

 うるさい。これはおれのものだ。古泉に奪われるまえに、おれはチョココロネを口のなかに詰め込んだ。

「もぐもぐ。まあ普通にうまいな──で、これを食ったら何がわかるっていうのかダヨー?」

 あれ? 語尾がおかしい。おれの意思とは関係なく語尾が「ダヨー」になっちゃうんダヨー。どうなってんダヨー? まさか──朝倉涼子の精神攻撃なのかダヨー!?

「長門、たいへんダヨー! また朝倉が仕掛けてきたかもしれないんダヨー」

 いつだったか1年5組で繰り広げられた宇宙人同士の殺し合いダヨー。あのとき、おれも長門も死にかけたんダヨー。

「朝倉涼子? それはないと思うんダヨー。今回の現象は、おそらくこなちゃんの仕業ダヨー」

「こなちゃん? 誰ダヨー?」

「こなちゃんはこなちゃんダヨー。こなちゃん以外のこなちゃんでは有り得ないんダヨー」

「なるほど。こなちゃんの仕業だったのかダヨー。それなら納得するしかないんダヨー」

 と、いうわけダヨー。


 ・・・・・・・


 きょうもSOS団はにぎやか。つづく。


 商品名『チョココロネ』

 今回の獲得シール 0.5点

 累計 22.5点

「白いフローラルディッシュ」獲得まで、あと2.5点

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