マロン&マロン 1点
「第1回マロン&マロンを食べるときにどうすればクリームで鼻先を汚さずに食べられるかを考えるための会議〜!!!」
ハルヒのどなりによって、きょうもSOS団メンバーたちの茶番劇が幕をあける。おれも強制参加である。
ヤマザキパンの『マロン&マロン』。切り株のような短寸の円筒型である。その上表面にはマロン
アイドルに喩えるならば──『マロン&マロン』は、すなわち全盛期だったころのAKBグループ(SKE48)からの交換留学生という名目で乃木坂46で活動していた2014年当時の「
そんな『マロン&マロン』にも欠点がある。食べるときに指先や口元がかならず汚れてしまうのだった。短寸とはいえボリューム感があるので、成人男性がひとくちで頬張ったときには、上表面のマロン餡に鼻先が触れてしまう。マロン&マロン本体を割って食べやすくするにしても、やはり表面のマロン餡によって指先がベトベトになる。
「キツツキが樹皮をついばむがごとく食べ進めれば、かろうじて鼻先や口元を汚さずに食べることはできます。でもそれではマロン&マロンのせっかくの良さを味わうことができなくなります。マロン餡とパン部分と疑似クリーム2種をほぼ同時に噛みしめる
なるほど。古泉のくせに『マロン&マロン』の本質を衝いたことを言いやがる。
「ホールケーキみたいにナイフで切り分けるのはダメですか?」
きわめて常識的な解決案を提示したのは朝比奈さんだった。
「ねえ、みくるちゃん。じゃあ訊くけど、ナイフに付着したマロン餡やクリームはどうするつもりなの? もったいなくない? それともナイフに舌を這わせて直接なめ取るつもりがあるってこと? 」
「ふぇぇっ! ナイフを舐めるなんて──わたしには無理ですぅ!」
ハルヒに脅されて、朝比奈さんは提案を取り下げてしまった。
「長門はどうだ? グッドなアイデアがあったら遠慮せず言ってくれ」
「食べようとすればクリームが付着する。付着を避けようとすれば食べられなくなる。この銀河を統括する情報統合思念体をもってしても、マロン&マロンを食べるときにクリームが鼻先にくっついてしまうのは避けられない。メビウスの輪。志茂田景樹。大三元。四暗刻。ダブル役満。木の実ナナ。墾田永年私財法。思惑を越えた理解。すなわち不可避。あきらめるしかない」
そうか。わかった。よし、食っちまえ。
団員の意見が出尽くしたところで──ハルヒが団長席から立ち上がった。
「結果発表〜! マロン&マロンを食べるときにマロンクリームが鼻先にくっつくのは仕方ないんだからねっ! 以上!!」
・・・・・・・
きょうもSOS団はにぎやか。つづく。
商品名『マロン&マロン』
今回の獲得シール 1点
累計 19.5点
「白いフローラルディッシュ」獲得まで、あと5.5点
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