スイートブール 1点
ハルヒが病欠した。
いまの季節だから風邪かインフルエンザかもしれない。
うちのクラス(1年5組)だけでも7〜8人の空席がる。きのうは、谷口と国木田がインフルで病欠していた。
寂しくはない。昼飯を食う相手に困るだけだ。自席でひとりで食ってもいいんだが──緊急避難先としてSOS団の部室に向かうことにした。
旧校舎の文芸部室。長門がいた。
「……おまえ、寒くないのか?」
もはや旧校舎にはヒーターは通っていないから「室温=気温」に等しいはずなのに。
「寒くない」
さすが宇宙人だ。ひろげたパイプ椅子に腰掛けて、寒さを苦にすることもなく、いつものように文庫本を呼んでいた。
「おれは寒いからストーブをつけさせてもらうぞ」
コンセントをつないで据え置きの電気ストーブをONにした。地元の大森電機店から譲り受けたものだ。以前、文化祭で上映するために8ミリフィルムで自主製作映画を撮影したことがあった。そのときに知り合った縁が、いまおれの足元を暖めてくれている。
「ストーブをつけたぞ」
「そう」
「こっちに来ないか?」
「いい」
「そうか。で、昼飯は食ったのか?」
「食った」
「そうか」
おれは遠慮せずに自分の昼飯をテーブルの上に広げた。
ヤマザキ製パンの『スイートブール』だ。いつみてもデカイ。忘れないうちにパッケージ表面の春のパンまつりシールを剥がす。1点。
オーブントースターですこし温めようと思ったが──でかすぎる。アンパンマンほど大きくはないが、アンパンマンの子供くらいの大きさはある。そのまま食うことにした。
大きいから大味とはかぎらない。表面はカステラ地。カステラの切断面じゃないところの表面みたいな茶色っぽい感じ。これが甘い。中身はただの食パン生地ではなく、ほんのり甘い。甘すぎず味気なさすぎず。絶妙だから何もつけずに食える。食感も悪くない。大きく膨らましているだけではないからだ。生地はカスカスではなくミッチリ詰まっている。なのにモチモチしている。自販機で買ってきたホットの缶コーヒーを飲みながら食っていうので口溶けも良いくてどんどん食が進む。あっというまに食い終わってしまった。
『スイートブール』は栄養価も高い。たんぱく質が15グラムも含まれている。実売価格は120円前後のヤマザキパンのなかでは屈指のたんぱく含有量だ。ちなみに、ランチパックのメンチカツでさえ6グラムに満たない。ウィダーのプロテインバーは10グラムだ。
『スイートブール』のエネルギー換算は500kcal超。炭水化物は80グラム超。学校の昼休みに『スイートブール』を1個食っておけば、六時限目が終わるまでは腹がもつ。たんぱく質が多いので部活の朝練後の栄養補給にも役立ってくれる。いずれにせよ、菓子パンだが「おやつ代わり」に食うものではない──などと考えているうちに全部食った。うまかった。
長門は読書を続けていた。あれは……角川ホラー文庫だな。たぶん。
・・・・・・・
きょうもSOS団はにぎやか。つづく。
商品名『スイートブール』
今回の獲得シール 1点
累計 11点
「白いフローラルディッシュ」獲得まで、あと14点
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