高級つぶあん栗入りあんぱん 1点

「買ってきたぞー」

 すっかりパシリキャラが定着してしまった。いつもの放課後。ハルヒを筆頭にSOS団の面々が文芸部室に集まっていた。

「ご苦労。ちゃんとヤマザキのやつ買ってきた?」「ああ、確認したぞ」

 校外に出かけるまえにハルヒに言われたこと思い出した。


(1)ヤマザキの、しかも「高級つぶあん栗入り」を買ってくること。同社の下位互換商品である「小倉ぱん」でもなく、ましてや他社のあんぱんでもない。

(2)パンまつりシールが貼られているものを買ってくること。最近シール泥棒が流行っているから。


「ひぃ、ふぅ、みぃ……ぜんぶで5個。ちゃんと人数分あるわね。みくるちゃん、悪いけど飲み物の用意をしてくれる?」

「は、はいっ。お茶のご用意をしますね」

 嬉しいじゃないか。朝比奈さんが手ずからいれてくれるお茶が待っているとわかっているからこそ、おれはハルヒの使いっ走りという屈辱と忍従に甘んじることができ──


「NO!!!!」


 ビクッ! ハルヒがいきなり叫んだ。しかも怒りの形相を浮かべている。

「いきなり何だよ、ハルヒ?」

「アンパンといったら牛乳でしょうが! 牛乳でしょうが!」

 その場で足を踏み鳴らしながら、大事なことらしくハルヒは二度も「牛乳でしょうが!」と訴えた。

「べつにお茶でもいいと思うが……。あんことの相性も良いだろ」

「もちろん、お茶とあんこはベストフレンズよ。でも所詮は友人止まり。恋や愛は生まれない。一方で、あんこと牛乳はマリアージュできる組み合わせなのよ。お互いがお互いを高めあって幸せを生み出す。この組み合わせに勝る者なし。これがSOS団が提唱するファイナルアンサーよ!」

 一同は納得した。おれはふたたび牛乳を買うために校外へ走ったのであった。

「キョン、買ってくるのは明治おいしい牛乳だからね! 間違っても低脂肪のやつなんて──」


・・・・・・・


きょうもSOS団はにぎやか。つづく。


商品名『高級つぶあん栗入り』

今回の獲得シール 1点

累計 3点

「白いフローラルディッシュ」獲得まで、あと22点

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る