第2話 合図

 その夢を見た朝は

目覚めが早い…。

快楽だけを貪りあった夜明けのような気怠さを纏いベッドから抜けだす。

そして

いつもより熱いシャワーを浴び

肌が擦れ血がうっすらと滲むまで何度も、何度も何度も何度も洗い流す…。


 バスタオルを一枚巻いただけの体をソファーへと預け一息つく。

髪から伝わり落ちる雫が肌に微かに滲みる。

そして

「ごめんね…。」

何に対して…誰に対して…の呟きなのか。

フッ。鼻から息が漏れる。

 両膝を抱え、ソファーの上に小さく纏まる。一人で使うには贅沢な作りの三人がけのソファーの両端が気遣うかの様に優しく包み込んでくる。


 静けさの中、遠慮がちに静かな音楽が流れる。

「きた…」

ベッドサイドに置いたテーブルの上から携帯が呼んでいる。

出なくてもわかる…。

チカシイヒトノ死ノシラセ…。


 その夢を見た朝は

必ず届く死の報せ…

チカシイヒトノ死ノシラセ…。


そして

ゆっくりと、携帯を手に取る。



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