第8話 日常編 Nella vita quotidiana 1:メンテだ In manutenzione

 日差しがカーテンの隙間から差し込む。

「旦那さん、眠い」

 と夫がぼやく。

「奥さん眠い」

 と応えておく。

 今日は、世界イル・モンドのメンテ日――やることがない。

 昼過ぎまではログ・インアッチェッソできないから、今のうちに買物とか済ませておかないと

 しっかし、眠いのはしようがない。

 昨夜も頑張ったからなぁ

 仕事と重なると地獄だわ……

「おーぃ、お腹空いてないか?」

「うーん、空腹と睡眠不足の状態異常は、どっちがダメージ大きい?」

「時と場合による」

「しゃーない、ご飯作るかぁ」

 ごそごそと布団から起き出す。

「何もないから卵と野菜のスープだよ。パン焼いて!」

「分かった。牛乳あったかな?」

「冷蔵庫見て!」

 なんとか用意して、食事始める。

 もう昼過ぎだわ。

「良く寝たわ」

「良く寝られるのはメンテ日だけのような気がするんだが」

「言わないで!」

 さて、食事終わってコンピュータの前に行く。

 後片付けは夫がやってくれるのだ。優しい。

「あれ? なんか接続できそう」

「お、メンテ早く終わったのかな?」

 夫もそそくさとコンピュータの前に陣取る。

「んじゃ、行くかぁ」

「そうね!」

 一瞬、廃人という文字が目の前を横切ったが――まぁいいか

 ログ・インアッチェッソ

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