1347.いろんな意味でチートな聖剣が、完成した。
新たに作った聖剣は、俺の心の声を無視して勝手に『グリムカリバー』と名付けられてしまった。
全くもって不本意だが、しょうがない。
『波動鑑定』を続けよう。
詳細表示を確認すると……
『聖なる剣。グリム・シンオベロン及びその眷属及び絆を結びし者のみが使える剣。
使用者の思念に応じて、形状を変えることができる。
周囲の人々の応援をエネルギーとして吸収することができる。
偉大なる可能性を秘めた剣。
悪魔及び悪の魔王に特攻。
多くの人々の想いが入った特別な剣で、擬似人格を備えるに至っている。魂を宿しているわけではない』
と表示された。
なんか凄いんですけど……。
突っ込みどころが多すぎて……どこから突っ込んでいいかわからない。
まぁ聖剣なんだから、“聖なる剣”はいいけど。
俺及び俺の眷属そして絆を結んだ者か……『絆』メンバーのことだろう。
つまり俺か仲間しか使えない剣になってしまったってことだよね。
そして使う者の思念に応じて、剣の形が変わるらしい。
どれほど変形するのか確認したいところだね。
“周囲の人々の応援をエネルギーとして吸収する”というのはどういうことなのか、よくわからない……。
だが元の世界でスポーツをしていた時も感じたし、オリンピックやワールドカップ等で声援を送っている時も感じたが、確かに応援って目に見えない力があると思うんだよね。
そういうものを吸収できるというのだろうか?
“偉大なる可能性を秘めた剣”というのも、まぁいいだろう。
“偉大なる”というのが少し怖いが……。
“悪魔及び悪の魔王に特攻”というのはありがたいが、あえて“悪の魔王”と表示されているのは、どういうことなんだろう?
悪じゃない魔王がいるということなのだろうか?
まぁこれについては、今考えてもしょうがないね。
一番の驚きは……魂こそ宿っていないが、疑似人格を備えるに至っていると表示されていることだ。
魔法AIとは違うのかな?
多分だけど、魔法AIのようなものなんだろうな。
ただ魔法AIは、魔法的な術式で作られた人工知能ということなんだろうが、今回の場合は魔法的な術式とか魔法陣等は一切使っていない。
だから、魔法AIという表現でないだけなのかもしれない。
直感的にそんなことを感じた。
まぁいずれにしろ、とんでもない剣ができてしまったらしい。
ふと周りを見ると、みんなが期待のこもった眼差しを向けている。
この内容も説明しないといけないね。
普通ならとても口外できない内容だが、他でもないコボルトの里のみんなだから問題はない。
俺は皆に説明した。
すると、この剣に対して何か神聖なものを感じているのか、膝をついて剣を拝む人たちが続出してしまった。
ほとんどのみんなは、涙を流している。
剣を握らせて欲しいという人が出てきたので許可したところ、全員が握ることになった。
まぁその資格はあるよね。
みんなが心を込めて、一打ち入れているからね。
みんなで作った聖剣である。
おそらく里のみんなも自分たちが製造に関われたという自覚があるから、感動はひとしおなのだろう。
この聖剣の内容が凄すぎて、俺の中での『グリムカリバー』という名前のパチモン感に対する切ない感情は薄くなってしまった。
まぁそうは言っても名前を改めて思い出すと、微妙な感じはあるけどね。
里のみんなの興奮も一段落したところで、剣の仕上げにとりかかった。
実は剣自身は完成しているが、鍔や柄を装着したり、鞘に納めるというのはこれからなのだ。
今回は、刀にするということには拘らず、成り行きに任せて打とうとはじめに決めていた。
本当に成り行きに任せて無心に打ったのだが、形状は通常の剣の形になっていた。
そんな感じだったので、前みたいに里の他の職人さん達が鍔や柄を準備するという事もしていない。
できた剣の仕上がりを見て、それに合わせて作ろうということになっていたのだ。
そういうことなので少し時間がかかるが、これから作り上げるということになるのだ。
少しして……ようやく完成した。
まず鍔は、手首を完全に覆い隠してあまりあるほど両サイドにせり出し、その左右の先端は丸みを帯びている。
黄金色に輝くそれは、『オリハルコン』でできている。
『ドワーフ』のミネちゃんが作ってくれたのだ。
ミネちゃんは、もともとオリハルコンの加工が得意だから、あっという間に作ってくれた。
持ち手の柄の部分も『オリハルコン』を使っており、金と黒が混ざったかっこいいデザインになっている。
鞘は、輝くような青に金の縁取りがされた豪奢なものになっている。
素材は、『コボルト
素晴らしい剣が出来上がった。
見た目も、儀礼用の剣と言ってもいいほど豪華で美しい。
この仕上がった状態をみんなにお披露目したときには、また凄まじい盛り上がりになってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます