1346.パチモン感が、半端ない!
「グリムさん、凄まじい剣ができましたね。
これは、間違いなく聖剣ですよ!」
トウショウさんが感動して目に涙を浮かべている。
「なんか凄いのができたわね!
これ……ただの聖剣じゃない感じよね?」
ニアが期待に満ちた表情で、目を輝かせている。
聖剣に“ただの聖剣”も何もないと思うけど。
聖剣っていう時点で、超絶に凄いと思うんだけどね。
「聖剣がなくてもチートなのに、チートな聖剣まで手に入れちゃってどうするのよ!?」
ニアが俺にジト目を向けてきた。
俺は苦笑いするしかなかったが、心の高揚感というか大きな満足感はある。
「グリムさん、早速名入れをしましょう!
名前をつけてください」
トウショウさんに急かすように言われたが、名付けか……やばいな……。
これほどの剣……変な名前をつけられないよね……。
俺の場合、時間をかけたからといっていい名前が浮かぶはずもなく……どうするか……。
俺が腕を組んでしばらく考えていると、周りのみんなの視線を強く感じた。
やばいな……このプレッシャー……。
見かねたのか、いや俺を信用していないからだろう、ジト目を向けながらニアが近くに飛んで来た。
「この剣に見合う名前をグリムに付けるさせるっていうのは、やっぱり無理があるわよね。
凄いチートなのに、名前をつける力だけはノーチートだからね」
めっちゃ辛辣なことをニアに言われたが、全くその通りなのでぐうの音も出ない。
「しょうがないね、私が考えてあげようか?」
ニアはそう言うと、腕を組みながら悪い笑みを浮かべた。
俺としては嫌な予感しかしないんだが……。
「そうねぇ……聖剣と言えば……伝説の聖剣エクスカリバー……」
そんなことを言いながら考え込むニア。
ファンタジーものでお約束の聖剣エクスカリバー……この世界にもあるのか?
そしてそれは、伝説の聖剣と言われるほどのものなのか?
と言うか、まさかそれをパクったような名前にしないよね?
めっちゃ不安だ。
「うん、そうね、グリムが作ったグリムのための聖剣なんだから……『グリムカリバー』なんてどうかしら!」
ニアが、めっちゃドヤ顔で腕を突き上げた。
なにそれ……?
嫌な予感的中なんですけど……。
『グリムカリバー』って……パチモン感が半端ないんですけど!
俺のそんな心情をよそに、周りで聞いていた皆が「おおぉぉ!」と凄まじい歓声を上げた。
いやいや、そんな名前付けないから!
せっかくの聖剣が、バッタもんみたいになっちゃうじゃないか!
そう思っていたのだが……虹色に薄っすら輝いていた剣が、一瞬強くが輝いた!
え! ……まさか?
俺は慌てて『波動鑑定』をする。
すると『名称』が『聖剣 グリムカリバー』となっていた……。
まじか……。
『命名』スキルは発動してませんけど……なんで?
なんで勝手に名前がついちゃうのよ!
パチモン感半端ないから!
そんな名前嫌ですから!
使うのがめっちゃ恥ずかしいわ……。
俺がガックリとしながらニアに視線を送ると、彼女も『鑑定』で確認していたらしく、目を丸くして驚いていた。
だがニアはすぐに気を取り直し、「凄いわ! 『命名』スキルを使ってないのに、なぜか名付けが完了しちゃってる!」と周りのみんなに告げた。
すると周りのみんなから、どよめきが起きた。
「グリムさん、これは……この剣自身が気に入ったのかもしれません!
これほどの剣ですから、魂が宿っているというか、何かそういう不思議な力があるかもしれませんよ」
なぜかめっちゃ満足そうにトウショウさんが解説してくれた。
えー、この名前気に入っちゃったわけ?
てか……魂宿ってないよね?
もし魂が宿ってたら付喪神になっちゃうわけだし……。
この剣自身が気に入ったというよりは、この世界のシステムというか、天声を含めたシステムの管理者的な者がいて、その存在が気に入ったってことじゃないかな……。
俺としては、そういう存在に遊ばれているようにしか思えないんだが……。
俺は、心の中でこの世界のシステムやその管理者的な存在に文句を言った。
当然何も反応はなかったけどね。
それにしても、グリムカリバーって……微妙すぎるんですけど!
だが、そう思っているのは俺だけで、他のみんなはめっちゃハイテンションで盛り上がっている。
「『聖剣 エクスカリバー』の伝説を超える新たな聖剣の名前にぴったりなのです!
『グリムカリバー』は『エクスカリバー』を超えるのです!
きっと、ミネの食欲をも超えてしまうのです!」
ミネちゃんもそう言って喜んでいるけど……『エクスカリバー』を越えようとしている時点で、二番煎じは否めないと思うんですけど……。
独自路線で行くべきだったと思うんですけど!
……まぁこれ以上考えても無駄だな。
気を取り直して、『波動鑑定』を続ける。
『階級』は、なんと『
どういうことよ? 凄すぎるんですけど!
周りのみんなが俺に注目しているので、このことを伝えた。
「おお、素晴らしい!
『
やはり伝説を築くにふさわしい剣ですね。ぐわぁ、うう……」
今度は、族長のメイショウさんが泣いている。
そして、周りのみんなの盛り上がりが凄いことになっている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます