1345.全部入れも、作ります!

 『ドワーフ』のミネちゃんが作った刀は、刀身が黄金色になっている。


 キンちゃんの黄金の鱗を使っているのが、影響しているのだろう。


 『オリハルコン』のインゴットは見たことがあるが、それに近いようなちょっと白っぽい感じの輝きでもある。


 ミネちゃんも名前を付けたが、俺とニアの名付けを参考にして、『金断丸きんたちまる』という名前にしていた。


 もちろん『命名』スキルで、命名していた。


 『波動鑑定』すると、『名称』が『竜鋼刀りゅうごうとう 金断丸きんたちまる』と表示され、『階級』が『究極級アルティメット』だった。


 ニアの『桃断丸ももたちまる』と同じような感じだ。


 詳細表示も同様に、『竜をも断てる刀。そして、可能性を秘めた刀』と表示されていた。



 『キジムナー』のカジュルちゃんの刀は、刀身が濃紺になっていた。

 素材として使ったオリョウの落とした鱗は、メタリックなブラックだったけど、刀身は黒ではなかった。

 まぁメタリックな濃紺なので、近い感じではあるんだけどね。


 名前は、『水断丸みずたちまる』にするそうだ。


 カジュルちゃんも、『共有スキル』の『命名』スキルを使って、名入れした。


 『波動鑑定』で確認すると、『竜鋼刀りゅうごうとう 水断丸みずたちまる』となっていて、『階級』は『究極級アルティメット』だった。


 詳細表示は、やはり『竜をも断てる刀。そして、可能性を秘めた刀』と表示されていた。


 ニアたち三人の刀は、色違いという感じだが、いずれも素晴らしい名刀と言えるだろう。


 そんな雰囲気というか、凄みのようなものが、刀自体から伝わってくるのだ。


 トウショウさんとメイショウさんをはじめとしたパートナーになってくれた職人さんたちも、すごく満足そうだ。


 そして周りに詰めかけていたコボルト族の皆さんが、大きな拍手を送ってくれた。


「皆の者、見たか!?

 この素晴らしき四本を!

 一本は、聖剣となった!

 我らの里始まって以来のことである!

 皆は、この世紀の瞬間に立ち会ったのだ!

 今日は、我らの記念すべき日である!」


「「「おおぉぉぉ!」」」


 族長が語りかけると、周りの人達から割れんばかりの大歓声が起こった。


 俺も、素晴らしい経験ができた。


 はっきり言って、鍛造で刀を作るのってめっちゃ楽しい!

 集中力が必要だし、大変な部分もあるのだが、それ以上に楽しいのだ。


 打っているうちに、無心になっていき、何か心がスッキリする感覚だった。

 リフレッシュとしても、いいかもしれない。

 今後も定期的にやりたいね。


 というか、本格的に刀鍛冶の修練を積みたいと思ってしまった。


 世界に一つだけの名剣を作って、俺の家族とも言える仲間たちにプレゼントしたいなぁ……。

 なんか夢が広がってきた。



 コボルトの里の盛り上がりは収まることなく、そのまま大宴会へと雪崩れ込んだ。




 ◇




 翌朝、俺は再び刀を打っている。


 昨夜は大宴会にお呼ばれして、大いに盛り上がったのだが、今朝は早かった。


 竜の鱗四種類を全て入れた刀を作るためだ。


 元々作る予定にしていたが、昨日は疲労もあったことと、宴会が始まってしまったので、今日に回したのである。


 今回は、打つのは俺とトウショウさんだけだ。


 ニアたちや他の職人さんたちは、見学である。


 ただ、トウショウさんにお願いされ、職人のみんなが一打ちづつ入れることになった。


 これは、経験と名誉のためということだった。


 今回もおそらく聖剣になると予想されるので、それに参加する名誉を与えることによって、今後の励みにしてもらうという親方心のようだ。


 それを聞いていたニアたちが、自分たちも記念に一打ち入れたいというので、了承した。


 みんなで一打ち入れた後に、俺とトウショウさんで仕上げるというかたちにした。


 そして、最終的には、子供たちも含めた里の住民全員が一打ち入れることになった。


 コボルトの里の全員で打つ刀となったのである。


 そして、今は仕上げの段階だ。


 もう既に全員一打ち入れ終わっているのだ。


 ——トンッ

 ——カンッ

 ——トンッ、カンッ



 そして、遂に完成した。


 凄い刀ができてしまったのは、確実だ。


 なにせ、刀身が輝きを放っているのだ。

 そして薄っすらとだが、刀身の先から手元までが違う色で輝いている。まるで虹のようだ。




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