1291.隠している情報は、光柱の巫女?
『月光教会』の巫女ムーンラビーさんの解呪を見ていた俺は、思わず自主規制している『波動鑑定』をしてしまった。
心の中では、彼女が色っぽい美人さんだからやったわけではないと自分に言い訳をしつつ内容を確認したが、それを正当化するように、なんとなく『波動鑑定』をしたくなった理由がそこにはあった。
彼女のステータスが偽装されていたのだ。
今まで見てきたのと同じように、偽装ステータスが表示されるが、そこにノイズが入り、本当のステータスが垣間見れるという状態が表示されたのだ。
これは、俺が『限界突破ステータス』でかつ強力な『波動鑑定』を持っているから見れるだけで、普通の『鑑定』スキルではわからないことである。
あまりじっと見ていると、変な男と思われる可能性があるので、簡単に確認を済ませる。
どうやら彼女が偽装しているのは、『称号』だけのようだ。
『称号』を隠しているのだ。
まぁ正確には、その『称号』を隠すための『通常スキル』の『ステータス偽装』も一緒に隠しているけどね。
そしてその隠している『称号』は、俺にとってはなじみのある『称号』だった。
『光柱の巫女』の『称号』なのだ。
つまり彼女は、俺の知人である『コウリュウド王国』の三人の『光柱の巫女』テレサさん、サーシャさん、アリアさんと同じ存在なのである。
『コウリュウド王国』の『光柱の巫女』たちは、『コウリュウド王国』で普及している『総合教会』の巫女で、この人は『アルテミナ公国』で普及している『月光教会』の巫女だ。
『光柱の巫女』の『称号』に宗派は関係ないようだ。
まぁそんな話は、前にも聞いていたけどね。
『光柱の巫女』は、神託を受ける者として貴重な存在だ。
『光柱の巫女』だけが神託を受けるわけではないようだが、代表的な存在と言えるだろう。
『神聖魔法』というレアな魔法スキルを発現する可能性が高く、使えるようになると神に祈願したり、神と交信したりすることができるとされている。
宗派に関係なく過去にある程度の数が確認されているので、神託を受ける巫女としては、有名な『称号』と言えるのではないだろうか。
だが、彼女はそのことを秘匿したいようだ。
さっき解呪に使っていたのは、『通常スキル』の『神聖魔法
しかも、上級魔法スキルだ。
『神聖魔法』はレアな魔法スキルだからも、隠しても良さそうだが隠してはいない。
まぁ人々を治療するために使いたいから、隠しようがないのかもしれないけど。
そして、『光柱の巫女』の『称号』を得ると『神聖魔法』が発現しやすくなるというだけであって、『光柱の巫女』の『称号』と『神聖魔法』自体には、必然の繋がりがあるわけではない。
『称号』を得ていなくても、『神聖魔法』を使えてもおかしくはないわけだ。
それから、彼女は『職業』欄には、『光柱の巫女』という表示がないから、俺の知人の三人の『光柱の巫女』たちのように、特別な力には目覚めていないようだ。
ただ単に、神託を受ける力があるということなのだろう。
まぁ特別な力というのは、戦巫女になる力だから普通は発現しないよね。
『通常スキル』には、『神聖魔法』を使えるようになった『光柱の巫女』なら皆所持している一般的な『神聖魔法』と言われているもの四つを持っている。
『神聖なる光』『神聖なる水』『祈願発意』『念神交信』というスキルだ。
これらは、俺の知り合いの『光柱の巫女』たちも共通して持っている。
前に聞いた話では、『光柱の巫女』の『称号』を得た者が必ず『神聖魔法』が発現するわけではないが、『神聖魔法』が発現すればこれらの四つは、ほとんど身に付くらしい。
彼女は、これ以外に特別な『神聖魔法』として『
そして彼女は、『加護』の欄に『月霊神アルテミスの加護』を持っていた。
これについても、偽装で隠すという事はしていない。
あくまで偽装で隠してるのは、『光柱の巫女』の『称号』と『ステータス偽装』のスキルだけだ。
それにしても……『月光教会』の巫女なのだから、『光柱の巫女』の『称号』があることを隠す必要はないと思うんだよね。
むしろ広めるべきことなのではないだろうか。
それなのに隠しているということは、知られたくない特別な理由があるのだろう。
もしかしたら、『光柱の巫女』の『称号』を得たのが比較的最近で、今の『アルテミナ公国』の不穏な情勢が影響しているのかもしれない。
まぁ俺が考えてもしょうがないけどね。
ちなみに、彼女が使える『神聖魔法』に『神聖なる光』がある。
これでも呪いが解けそうな感じがするのだが、あくまで穢れを払うという程度で解呪はできないようだ。
『神聖なる光』とは、穢れを払う光を出す魔法で、簡単な浄化ができるということのようだ。
心の汚れというか……マイナス波動のようなものも緩和させることができるらしい。
まぁ凄く軽い呪いなら解けるんだろうけど、今回のような重い呪いは無理なのだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます