1215.本日の探索の、成果。
瀕死だった冒険者五人が意識を取り戻した。
話を聞くと彼らは、Dランクの中堅冒険者だった。
ある程度の実力者にもかかわらず、命を落とすところだった。
あの数で一気に襲って来られたら、太刀打ちできないわけだよね。
迷宮は、どんな場所でも気を抜けないということだ。
泣きながら感謝された。
最初に助けてくれたアクアリアさんがいなければ、間に合わなかったと伝えたところ、アクアリアさんにも泣きながら頭を下げていた。
『貝殻提灯アンコウ』を狙って、普段は来ない『南エリア』に来たそうだ。
なんでも、この前俺たちが『貝殻提灯アンコウ』を討伐したことが評判になっていて、この冒険者たちは、いわば二匹目のドジョウを狙ったということだったらしい。
俺たちが『貝殻提灯アンコウ』を討伐したにもかかわらず、宝石を買取に出さなかったからか、クエストの報酬相場も上がったらしいのだ。
そんな状況の中で、命を落としかけていたので、自己責任とは言え……少し責任を感じてしまう。
死のフロアと言えるような危険なフロアに入り込まないように、早く詳細な地図を作って、普及させたいものだ。
俺たちは、彼らも連れて、センターサークルまで戻り、そこで解散することにした。
アクアリアさんは、今とっている宿を引き払って、明日『ツリーハウスクラン』に来てくれるとの事だった。
俺は、迷宮入口にある受付で帰還の申告を済ませ、そのまま『ギルド会館』に移り、『買取センター』に魔物を持っていった。
『買取センター』に出す魔物は、狙っていたらミズカマキリの魔物とカブトガニの魔物と、一緒に倒したピラニア魔物とザリガニ魔物だけにした。
もちろん数は調整した。
その他の魔物……特に迷宮中層で倒した角狼魔物などは、珍しい魔物の可能性もあるので、秘匿することにした。
迷宮入口受付での帰還申告の際に、魔物の種類と数を調整しておいたのだ。
最初に、ニア、リリイ、チャッピーが頑張って採った『迷宮ノビル』を買い取りに出した。
総数で七百八十九本採っていたが、申告は三百本にした。
依頼に出ていた相場通り、一つ千ゴルで買ってくれたので、これだけで三十万ゴルになってしまった。
冒険者の一日の稼ぎとしては、充分すぎる成果だ。
普通なら、どんちゃん騒ぎをするとこだよね。
だが……レアな魔物というのは……これを軽く凌駕してしまうのだ。
ミズカマキリの魔物については、本当は六体倒したのだが、二体と申告してある。
二体取り出して査定してもらったが、その結果は……一体五十万ゴルで合計百万ゴルになった。
依頼に出ていた相場は、一体三十万から五十万だったが、傷など損傷がほとんどないので五十万ゴルつけてくれたようだ。
俺の雷魔法の威力が強すぎて、少し黒ずんだ感じになっていたのだが、大きなマイナスにはならなかったみたいだ。
カブトガニ魔物も、本来は八体倒しているが四体申告した。
一体六十万ゴルだった。
基本相場は、五十万ゴルとなっていた。
傷等がほとんどないことが評価され、高めの買取価格になったようだ。
四体のうち三体は、普通の個体だったので、この値段で買い取ってもらった。
実は、もう一体は、珍しいピンク色の個体を出していたのだ。
査定価格はなんと、九十万ゴルだった。
ただこの珍しいピンク色の個体は、俺が使いたかったので、買取には『魔芯核』だけを出して、本体は引き上げた。
ピラニア魔物は百二十三体倒したが、申告は二十体とした。
買取センターのドンベンさんによれば、ピラニア魔物も持ち込まれることは少ないので、いい値段が付けられるとの事だった。
鋭い歯には、様々な使い道があるらしい。
ただドンベンさんは、ニアの『残念親衛隊』の実質的なリーダーのような人だから……必要以上に買取値段を頑張ってくれている気がして、しょうがない……大丈夫なんだろうか?
「本当は……一体十万ゴルつけたいところですが……数が多いので七万ドルにさせてください。二十体合わせて百四十万ゴルです……」
ドンベンさんは、申し訳なさそうに言ったが……十分過ぎる金額だろう。
ピラニア魔物は、一メートルくらいしか体長がないし、厚みもないから食べられる部分もそんなに多いわけじゃない。
それを考えれば、一体七万ゴルはかなり良い値段だと思う。
歯や鱗が使えるからこその値段と言える。
最後にザリガニ魔物の査定をしてもらった。
ザリガニ魔物は、本当は十六体倒したが、三体だけ申告してある。
ドンベンさんによると、ザリガニ魔物も甲羅が様々に利用できるので、いい値段がつくとのことだった。
ザリガニ魔物も、一メートルくらいの大きさだが、一体七万ゴルつけてくれた。
今回の買取合計金額は、四百七十一万ゴルになった。
正確には、買取に出さなかったピンクのカブトガニ魔物の『魔芯核』だけの値段を入れれば、四百七十五万ゴルになったのである。
十分すぎる成果だ!
今回も買取センターのドンベンさんが、かなり驚いていた。
クエストで出ているレア魔物や、なかなか持ち込まれない珍しい魔物を持ち込んだからね。
俺たちが引き上げようと思っているところに、さっき助けてあげた冒険者パーティーがやって来た。
ギルド受付での申告を済ませて、買取に持ってきたみたいだ。
実はあそこで倒した百体以上……正確には百八体のカエル魔物は、全てこの冒険者パーティーにあげたんだよね。
リリイとチャッピーが倒したんだけど、死にかけたこの人たちへのお見舞い的な意味も含め、あげることにしたのだ。
魔法カバンも持っていたので、回収も問題ないようだったしね。
何よりも一攫千金を狙って、『貝殻提灯アンコウ』を狩りに来たわけだから、お金があったほうがいいだろうと思ったのだ。
最初は固辞していたが、ニアに、人の厚意は受け取りなさいと諭されて、受け取ってくれたのだ。
彼らが魔法カバンから百八体の蛙魔物を出したので、ドンベンさんはびっくりしていた。
そんなドンベンさんに、俺たちに助けてもらったことを説明したらしく、ドンベンさんは納得顔で頷いていた。
カエル魔物は小さいし、数が多かったので一体二万ゴルにしかならなかったみたいだが、合計で二百十六万ゴルにはなったので、良かったのではないだろうか。
ここでも半分だけでも受け取ってもらえないかと言われたが、固辞しておいた。
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