1058.マヨラーの、大量生産?

 打ち合わせが終わったところで、クランの全メンバーというか子供たちを集めた。


 『クラン本館』の一階に、広いホールが作ってあるので、そこに集まってもらったのだ。


 そして新しくクランのメンバーになった仲間たちを紹介した。


 狼亜人の父親のベオさんと、エクセちゃん、セレンちゃん姉妹。

 熊亜人のプップさんと、狸亜人のポルセちゃんだ。


 子供たちは、皆温かく迎え入れてくれた。

 笑顔で拍手してくれたのだ。


 そんな子供たちも、すっかりお腹ペコペコのようだ。

 もう日が落ちてしまっているからね。


 俺たちの打ち合わせが長引いたせいで、待たせてしまったのだ。


 夜も相変わらず……焼肉だ。


 この『ツリーハウス屋敷』の庭の一画に、焼き場が十ヶ所作ってあるのだが、もうすっかり固定の焼き場になっている。

 片付けられずに、そのままセットされているのだ。

 しばらくは、このままいくしかないだろう。

 この焼き場を使えば、肉だけはすぐに焼けるからね。


 肉だけといっても、イノシシ魔物肉、バッファロー魔物肉、鶏魔物肉、ワニ魔物肉という『アルテミナ公国』でメジャーな四大肉が、好きなだけ食べれるので、そんなには飽きないのではないだろうか。


 そして大量のリーフレタスを出して、レタスに巻いてお肉を食べることを推奨しているので、まぁまぁ野菜も取れているのだ。


 子供たちは今までと違い、お腹いっぱい食べれるので、誰も飽きたとは言わず喜んでくれている。


 だが今日は、新たな肉も投入しようと思っている!

 迷宮で狩ったカエル魔物の肉とドジョウ魔物の肉だ!


 やっぱり食べてみないとね。


 迷宮で狩った魔物は、必ず『冒険者ギルド』に買取してもらわなければいけないわけではない。

 『魔芯核』は、ギルドに買取してもらうかたちで納めなければならないが、魔物の肉は自分で食べても問題ないのだ。

 その『魔芯核』だけを、ギルドの買取所に持っていけば良いのである。


 ということで、今日はこの二種類の魔物の肉を食べてみることにしたのだ。


 本当は、アンコウ魔物の肉を使った『アンコウ鍋』を作ってみたいけど、それはまた今度で良いだろう。


 早速焼いて食べてみる……。


 カエル魔物の肉は、鶏肉っぽい感じで結構いける。

 食材として安定した値段がつくとのことだったが、それも納得だ。

 鶏肉と遜色ない感じだからね。


 カエルの肉を食べるのは、俺的にはちょっと微妙なのだが……この世界というか、迷宮に出るカエル魔物は結構大きいので、肉にするとただの肉切れでカエルを思わせる形がない。

 だから、あまり考えずに食べることができる。

 そういうのって、大事だよね。


 次は、ドジョウ魔物の肉だ。

 ウナギ以上のサイズなので、ウナギのような食べ方をしようと思って、捌いて焼いてみた。


 とりあえず塩で焼いてみたが……すごく美味しい!

 ウナギと思って食べれば……ウナギに思える気がする。


 蒲焼のタレが欲しかったけどね。

 まぁとりあえずは、醤油で良いけど。

 醤油もかけて焼いてみたが、香ばしくて、すごく美味しかった。


 そういえば……今までの肉の味付けは、数が多くて大変だから、塩味だけにしていた。

 だが、醤油をかけるとか、醤油につけて焼いてもよかったね。

 今更だな。


 そうだ! 今回は特別に、マヨネーズを使おう!

 味変していいだろう。

 そして何よりもマヨネーズが美味しいから、子供たちは大好きになるに違いない。


 俺は、子供たちに声をかけて、大量のマヨネーズを出した。


 その結果は……もちろん大好評だ!


 子供たちが、すごいことになっている。

 今までもよく食べてくれていたが、食いつきが違っている。


 みんな……フードファイターになったりしないよね?

 まぁなってもいいんだけどさ。


 肉をマヨネーズにどっぷりつけて、完全に肉をマヨネーズでコーティングして食べている子が続出している。

 野菜もいっぱい食べて欲しいんですけど……。


 なんとなく……“マヨラー”を大量生産してしまった気がするが……まぁいいだろう。

 この子供たちは、みんなガリガリだし、これから頑張って体も鍛えていくから、栄養をいっぱい取った方が良いだろう。



 俺は、一段落したところで、食事の続きをバーバラさん達に任せて、出かけることにした。


 ギルド酒場に行くのだ。


 今晩のギルド酒場の代金は、全て俺が払うことになっている。

 『連鎖暴走スタンピード』が起きたと聞いて、対策のために駆けつけてくれた冒険者たちに、おごるという話をしてあるのだ。

 俺のおごりなので、自由に飲み食いしてほしいと言ってある。

 冒険者たちの心意気に対しての、俺からの礼なのだ。


 迷宮から出てきたときに、ギルド酒場に寄って、その旨は伝えてあるので、最悪俺が行かなくても大丈夫なのだが……顔だけは出しておいた方が良いと思っている。


 一人で行こうと思ったのだが……ニアが一緒に行くと言うので、連れて行くことにした。




 ◇




 ギルド酒場に着いた。

 めっちゃ盛り上がっている。


 そしてなぜか、酒場の外にテーブルや木箱が並んで、人が溢れている。

 外でも食事をしているのだ。


 ……凄い人数なんですけど。

 ギルド酒場は、詰めれば百人くらい入るだろうし、外にこれだけ人が溢れているから……下手したら百五十人ぐらいいるかもしれない。

 まぁいいけどさ。


 俺が近づいていくと……誰彼となく、俺に声をかけてくれる。

 それは良いのだが、その内容が微妙だ。


「キング殺しが来たぞ!」とか、「おお、キング殺し様のお出ましだ!」とか、「我らがキング殺し、次はどのキングだ!?」とか、キング殺し一辺倒なのだ。

 しまいには、『キング殺し』コールが巻き起こってしまった。


 なんか……微妙すぎるんですけど。

 そしてリアクションが取りづらいんですけど……トホホ。




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