1057.新しいポジションを普及させて、歴史に名を残したい。

 戦闘中に負傷者を回復させるために、『魔竹』を使って竹筒水鉄砲を作るという、俺としては画期的なアイデアが思いついた。

 既存の魔法薬を装填して、発射できるようにするのだ。


 すぐに作ろうと思っている。


 そして魔法薬は『身体力(HP)回復薬』だけではなく、『魔力(MP)回復薬』や『解毒薬』などもあるから、これらの魔法薬もセットすれば、かなり役立つだろう。

 戦闘中に魔力切れした本人が魔法薬を飲むのではなく、『ヒーラー』ポジションの人間が、竹筒水鉄砲でかけることによって、回復してあげることもできる。


 なかなかいいんじゃないだろうか!


 『ヒーラー』ポジションの使う道具の問題は、解決してしまった気がする。

 色んな魔法薬を、臨機応変に駆使できれば、普通の『ヒーラー』よりも活躍するかもしれない。

 ……ムフフ。


 もう回復できる魔法道具を手に入れる必要はなくなっちゃったけど……明日は予定通り、魔法道具店に行こうと思ってるけどね。

 そして、もし売っていたら、買っちゃおうと思っている。

 それはそれ、これはこれ、なのだ!

 掘り出し物を見つけるぞー! おおぉぉ!



 そんな事はさておき……『魔竹』を使った竹筒水鉄砲……もしかしたら、大ヒット商品になるかもしれない!


 一般の冒険者に向けて、販売したほうがいいな。


 うちのクランの冒険者じゃなくても、当然のことながら生き延びてほしい。

 『魔竹』は珍しい素材ではあるが、竹筒水鉄砲は魔法道具ではないので、安めの価格設定にしても問題ないだろう。


 専用のケースも作って、五本入りセットとか十本入りセットとかにして、販売したらいいかもしれない。

 そのまま肩掛けカバンにして、迷宮に持っていけるようになっていたら便利だと思うんだよね。

 もちろん一本ずつでも販売するけど。


 どの冒険者パーティーも、回復薬は使っているわけだから、それを竹筒水鉄砲に充填すればいい。

 それだけの作業だ。

 そして当然のことながら、竹筒水鉄砲は何回でも使えるわけだから、最初にお金がかかっても、充分元は取れる。

 というか、何よりも命がかかっているからね。


 これが普及すれば……各パーティーに『ヒーラー』ポジションが、普通に構成できるようになると思う。


 まぁ回復魔法を使っているわけではないから、『ヒーラー』ポジションと言うよりは……アイテムを操るポジションと言えるけどね。


 魔法薬など色んなアイテムを駆使して、仲間を援護する『アイテム使い』もしくは『アイテマー』というポジションを設定してもいいかもしれない。

 他にも、戦闘を有利に進められる様々なアイテムを選りすぐって、使いこなせるようにして、このポジションを確立させたら面白いかもしれない。


 『ツリーハウスクラン』が考えた新たなポジションとして、『冒険者ギルド』の歴史に残ったら、ちょっと嬉しい……ムフフ。


 俺の説明を聞いたハウジーちゃんは、少しほっとしたような表情をしている。

 最初は、回復魔法が使えないのに『ヒーラー』ポジションと言われてびっくりしたようだが、何をすればいいのか具体的にイメージできたのだろう。


 ただ彼女には……メンバーの中でも、特に多くの時間を水鉄砲の練習に費やしてもらわなければならない。

 微妙にかわいそうな気もするが……。


 他のメンバーも、一通り訓練するから、当然水鉄砲もやってもらう。

 ハウジーちゃん一人だけがで、水鉄砲の練習をしているという状況にはあまりならないだろうから、まぁいいだろう。


 ハウジーちゃんは、「水鉄砲がうまくなるように、がんばります!」と健気に宣言してくれた。



 改めて育成冒険者第一号『希望の枝ブランチオブホープ』のポジションをまとめると、以下のようになる。


 ○『タンク』ポジション…… アマダくんとウラキくん。

 ○『アタックタンク』ポジション……レイくんとビダンくん。

 ○『斥候』ポジション……狼亜人姉妹の妹セレンちゃん。

 ○『アタッカー』ポジション……ツリッシュちゃん。

 ○『ロングアタッカー』ポジション……狼亜人姉妹の姉エクセちゃん。

 ○『魔法使い』ポジション……狸亜人のポルセちゃん。

 ○『ヒーラー』(『アイテマー』)ポジション……ハウジーちゃん。



 早速装備を揃えて、近日中にデビューさせてあげよう。


 この子たちは第一号パーティーなので、超特別扱いで、速攻デビューと行こう!


 子供たちも、みんなやる気に満ちた目をしている。


 明日からの本格的な訓練を、頑張ってほしい。


 レベル20くらいまでは、パワーレベリングしても問題ないと思うので、俺が引率して早めに迷宮に連れて行って、レベル上げをさせてあげようと思っている。

 特別扱いなのだ。



 そういえば……『ツリーハウスクラン』のメンバーであることを表すためのローブとベルトは作ってあるが、冒険者メンバーのための標準装備は作っていなかった。


 ニャンムスンさん達や今後入ってくるかもしれない中堅冒険者は、自分たちの装備を持っているから特に必要はないと思うが、新人冒険者の場合は、ある程度の装備を用意してあげた方が良いだろう。

 それこそ、命に直結するからね。


 駆け出し冒険者はお金がなくて十分な装備を揃えられないまま迷宮に入り、命を落としてしまうことが多い。

 前にギルド長も言っていた。


 そんな駆け出し冒険者を支援をしてくれるクランが、少しでも増えれば嬉しいとも言っていた。


 過保護は良くないかもしれないが……いかんせん命に関わるから、ある程度の装備は持たせてあげないとね。


 一番簡単なのは、商品にもなっている『マグネ一式標準装備』だが……いまいち面白味がない。


 ここは、新しいものを作ることにしよう!


 豪華すぎず、それでいて強固で安全性が高い装備を作る。


 みんなに共通の軽鎧と、守りの要の大盾、アタックタンク用の盾、全員が標準装備する剣、ロングアタッカー用の弓、『希望の枝ブランチオブホープ』のメンバーは使う予定はないが槍、……これぐらいは作っておいた方が良いだろう。


 どうせなら、この迷宮都市で討伐した魔物の素材を活かすことにしよう!


 ワニ魔物の外皮をメイン素材にした軽鎧、同じくワニ魔物の外皮をメイン素材にした大盾と通常盾、猪魔物の牙を素材とした剣と槍、バッファロー魔物の角を素材とした弓……こんな感じで、オリジナル装備を作ろう!



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