913.小悪魔の効能は、極秘情報。
俺は、領政官のクリスティアさんに頼んで、シンオベロン選抜チームには、できるだけ『小悪魔』が多いエリアを割り当ててもらうように調整してもらった。
できるだけ『小悪魔』の死体を集めたいのと、万が一、『小悪魔』を集めに来た悪魔に出くわす危険を考えてのことだ。
シンオベロン選抜チームには、監督者として、俺の『自問自答』スキル『ナビゲーター』コマンドのナビー顕現体や『アラクネロード』のケニー人型分体などの屈強なメンバーをつける予定だ。
だから万が一、悪魔に出くわしても対応ができる。
そして、すぐに念話で俺に連絡をすることもできるのだ。
それから、倒した魔物の死体と小悪魔の死体の運搬がかなり大変だと思うので、シンオベロン選抜チーム以外のチームの分も、『フェアリー商会』で受け持つという申し出をした。
みんな喜んでくれた。
この死体の運搬を名目に、ミルキーたち俺のパーティーメンバーを他のチームにつければ、不測の事態にも対応できる。
魔物の死体や『小悪魔』が持っていた武器などは、処理する体制が整ったら、討伐したチームに渡してあげるというかたちにした。
大量の魔物を狩った場合、全てをすぐに処理するのは大変なので、魔物の一時保管所のような感じで機能してあげようと思っている。
そして『小悪魔』の死体はいらないと思うので、こちらで処分するという名目で全てもらうことにした。
『小悪魔』の死体をできるだけ俺が集めようとしているのは、『小悪魔』の死体を食べるとスキルが発現したり、『スライム』などは特殊なクラスチェンジが発生したりするからだ。
『小悪魔 インプ』を食べた『スライム』は、通常『ハイスライム』にクラスアップするところ、『マジックスライム』にクラスアップできたりするのである。
これは、俺の仲間たちだけの極秘事項だ。
『小悪魔 インプ』を食べると、スキルが発現したり特殊な状態になる事は、俺の仲間たちで完全に実証されているが、俺は食べていない。
どうしても、食べる気がしないんだよね。
だが、もしこの話をビャクライン公爵とかが知ったら、全く躊躇なく食べちゃうと思うんだよね。
生でも食べそうな感じだし……。
『ヒュドラ』の肉を食べるのは良いが、『小悪魔』の肉を食べるというのは、とても微妙な気がする。
それに、俺の仲間たちで安全性が確認されているとは言え、人型メンバーは一度も食べていないんだよね。
人については、実験したとは言えない状況なのだ。
万が一、何かの悪い影響があったら困る。
この知識は今のところ文献にも載っていないようだから、やはり極秘情報として秘匿しておく方が良いだろう。
俺と仲間たちだけの秘密なのだ。
ただ冷静に考えてみると……『小悪魔 インプ』や『小悪魔 ジャキ』は比較的いろんな場所にいるし、弱いので、今までの歴史の中で、全く誰も食べたことがないというのも考えづらい……。
そう考えると……人族が食べても、効果がないのかもしれない。
まぁ実験台になって、試す気にはなれないけどね。
そういえば、俺の『波動収納』には、先日の反乱事件の時に突如として襲いかかってきた『獣の悪魔』に強化された『獣インプ』と『獣ジャキ』の死体が大量に入っている。
悪魔の因子が植え付けられて強化されていたので、それを食べたら危険かもしれないと思って、誰にも食べさせていない。
実験したい気もするが……実験台に仲間を使うこともできないし、死蔵しておくしかない感じなのだ。
なんとなくスライムたちなら大丈夫な気もするが、万が一悪魔に操られるみたいなことになったら困るから、試すことができないのだ。
ただそういう危険な問題がなければ、悪魔の因子が入って強化されているので、逆にすごいパワーアップ食材にはなり得るんだけどね。
すごい能力が発現したりする可能性もあるんだよね。
少しもどかしいが、何か良い方法が見つかるまでは、死蔵しておくしかないのだ。
コバルト領内の魔物・小悪魔討伐チームとは別に、コバルト領近海の魔物・海賊討伐チームとして、チーム付喪神が出動している。
予定通り『魚使い』のジョージと、その使い魔の陸ダコの霊獣『スピリット・グラウンド・オクトパス』のオクティと虫馬『サソリバギー』のスコピンにも同行してもらっている。
そしてこのチームには、俺も合流しようと思っている。
海の魔物退治は任せるつもりだが、海賊退治……特に海兵隊のような働きをしている変わった海賊に興味があるので、そこには同行したいと思っているのだ。
そのアジトが見つかり次第、ジョージから念話が入ることになっている。
すぐに転移で駆けつけるつもりだ。
『高速飛行艇アルシャドウ号』を転移先として登録してあるので、すぐに行けるのだ。
……少しして、ジョージから念話が入った。
早速、転移で駆けつけると、驚きの光景が待っていた。
『アルシャドウ号』は上空で待機した状態だったので、そこから島を見下ろすと……なんと、戦いが起きていたのだ。
『視力強化』スキルを使って確認すると……島には村のようなものができていて、それを守るように柵が張り巡らされている。
正面の位置には、
海賊のアジトと思われるが、そこをなぜか海賊が攻めている。
そして守っているのは、老人や子供、女性ばかりだ。
なんとなく……普通の村を海賊が襲っているようにも見える。
一体どういう状況なのか……?
海賊のアジトで内紛でも起きたのか……?
いや……内紛という感じではない……。
襲っているのは、荒々しい男の海賊ばかりで、守っているのが老人・子供・女性というのは、あまりにも不自然だ。
だが、深く考えている余裕はなさそうだ。
砦の柵が、今にも破られそうだ。
まずは……襲っている方を無力化しよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます