912.魔物討伐任務、参加メンバー。

 午後になって、俺たちは昨日打ち合わせで決めた通り、コバルト直轄領の魔物退治に乗り出した。


 コバルト領内の街道に近いエリアの魔物・小悪魔の討伐には、五つのチームが参戦する。


 ○ピグシード辺境伯領選抜チーム

 ○ヘルシング伯爵領選抜チーム

 ○セイバーン公爵領選抜チーム

 ○ビャクライン一家チーム

 ○シンオベロン選抜チーム


 以上のチームに選抜された人材は、転移の魔法道具でコバルト城に連れてこられていた。


 ○ピグシード辺境伯領選抜チームには、領軍からは元領都守備隊の副隊長で現在『イシード市』の衛兵隊長をしているマチルダさんと、元『マグネの街』の美人衛兵で現近衛隊長のクレアさんが選抜されている。

 そして武術大会出場者でピグシード辺境伯領に仕官してくれた女侍ことサナさん、マスク狩人ことアロンさんと、予選敗退者の中からスカウトした女性の剣士一名と女性槍士一名も選抜されている。

 合計六名のチームに編成されているのだ。

 このメンバーは、今後創設される女性だけの騎士団『華麗なる騎士団ブリリアントナイツ』の候補生でもある。


 ○ヘルシング伯爵領選抜チームには、発足準備中の『ヴァンパイアハンター』とその従者からなる『銀牙騎士団』の候補生が選抜されている。

 総勢三十名の大部隊だ。


 ○セイバーン公爵領選抜チームは、『特命チーム』のメンバーとシャイン=マスカット子爵とその家臣団の美女集団『マスカッツ』で編成されている。


 『特命チーム』は、現在七名のチームになった。


 今回改めて、リーダーに任命されたゼニータさんと、サブリーダーに任命された元怪盗ラパンのルセーヌさん。

 犬耳の少年バロンくんとゼニータさんの弟のトッツァンくん。

 以上四人が、今までのメンバーだ。

 ゼニータさんとバロンくんとトッツァンくんは、表向きは『セイセイの街』の衛兵隊の所属ということになっている。

 ゼニータさんは衛兵隊長を兼務していて、バロンくんとトッツァンくんは見習い衛兵なのだ。


 そして今回から、新たに三人が合流した。

『怪盗ジイゲイン』ことダイスくん、『怪盗ゴウエモン』ことイシカさん、『怪盗フウジィコ』ことミーネルさんだ。


 彼らは今まで、『屋台一番グランプリ』で、クレープ屋台のスタッフとして忙しく働いていたのだが、今回から合流したのだ。


 ○ビャクライン一家チームは、シスコン三兄弟ことイツガくん、ソウガくん、サンガくんの三人に、監督のビャクライン公爵がついている。

 ハナシルリちゃんも、急遽参加することにしたらしい。

 ハナシルリちゃんは、『闇オークション』で保護してきたカタツムリ型虫馬『デンデン』のデンコと『サーベルタイガー』の子供ミケを俺から譲り受けているのだが、この子たちも鍛えるつもりらしい。

 この子たちは、あくまで通常生物だから無理に強くしなくてもいいと思うのだが……。

 なんとなくハナシルリちゃんの発想って、ニアさんに似てるんだよね。

 まぁデンコとミケが嫌がってないからいいけどさ。

 今後のことを考えれば、強くなっておくに越した事はないし、ハナシルリちゃんと行動を共にすることが多いから、危険に巻き込まれる可能性もあるからね。


 ただ今回の討伐で、デンコとミケに戦闘させるのは、かなりきついと思うんだよね。

 普通で考えれば、デンコは虫馬なので戦闘行動は体当たりぐらいしかできないし、ミケもまだ子供だからね。

 二人とも、俺の『絆』メンバーになっているので『共有スキル』が使えるから、いろんな攻撃手段は持っている。

 だが、その事はビャクライン公爵たちには内緒になっているので、『共有スキル』で攻撃するというわけにはいかないんだよね。


 でもハナシルリちゃんは、無理矢理レベルアップさせるつもりらしい。

 その為に、ビャクライン公爵を利用するつもりのようだ。

 まぁハナシルリちゃんの言うことなら……言いなりだからね。


 ビャクライン公爵に、魔物を瀕死の状態に追い込んでもらって、トドメをデンコとミケに刺させるという作戦で、レベルを上げるつもりらしい。

 パワーレベリング以外の何物でもないけどね。

 本当なら、戦闘の勘が身に付くように、実際に戦闘させたほうがいいのだが……。


 パワーレベリングをするぐらいなら、こっそり大森林に連れ出して特訓してやったほうが、地力がつくと思うんだよね。

 まぁそれはそれで後でやってもいいから、今回はこのまま好きなようにやらせてあげるけどね。


 ○シンオベロン選抜チームは、『フェアリー商会』の幹部や準幹部メンバーの中から、サーヤが選抜した人たちが中心だ。


 そこに、何人かが特別参加している。


 まずは、先日、『闇オークション』で保護した狼亜人の親子ベオさん三十八歳と娘のセレンちゃん八歳だ。

 サーヤは、『フェアリー商会』の幹部にしたいと考えているらしく、現在英才教育の真っ最中なのだ。

 ただベオさん達は『アルテミナ公国』の出身で、村を魔物に襲われて、奥さんともう一人の娘さんと生き別れ、奴隷商につかまったという身の上なのだ。

 それ故に、身を守れる強さを身に付けて『アルテミナ公国』に戻りたいという希望を持っている。

 そこでサーヤは、それを叶えてあげるべく、メンバーに入れてあげたらしい。


 それから、ヘルシング伯爵領『サングの街』の『闇影の義人団』のメンバーも参加している。

 今後のことを考えると、もう少しレベルアップしておいたほうが安心なので声をかけたら、皆喜んで参加すると言ってくれたのだ。

 『フェアリー商会』のスタッフでもあるスカイさん、『商人ギルド』のギルド長のレオさん、『商人ギルド』の受付嬢ジェマさん、イカ焼き屋台の店主マックさん、『アシアラ商会』の会頭のアシアさん、衛兵長のフィルさんの六人だ。


 あとは、セイバーン公爵領『セイセイの街』とその付属の特別村『コロシアム村』の『フェアリー商会』の幹部スタッフになってくれている元『花色行商団』の大人女子のメンバーと亜人の子供たち、『総合教会』の孤児院の子供たちも参加している。

 彼女たちや子供たちは、普段から自分たちも強くなりたいという要望を言っていたので、サーヤがメンバーに入れてくれたのだ。

 彼女たちは、もともと元『怪盗ラパン』のルセーヌさんの義賊働きを手伝っていた人たちだし、亜人の子供たちは保護されていた子供たちだ。

 サーヤによれば、子供たちは亜人特有の身体能力の高さで、かなりの戦闘センスを持っているとのことだ。


 もし俺が将来、独自の家臣団を持ったり、騎士団を創設することがある場合、その頃にはこの子供たちが屈強な戦士となっていて、中心にいる可能性があるとすら言っていた。


 でも将来独自の家臣団を持ったり、騎士団を創設するつもりは一切ないんだけど……。

 まさか……サーヤ……そんなこと考えてないよね……?


 この亜人の子たちと一緒に暮らしている『総合教会』の孤児院の子供たちも、『光柱の巫女』のテレサさん達を守れるように強くなりたいといつも言っているのだ。

 武術大会に出て活躍し、衛兵隊に入ることができたバロンくんの存在も大きいだろう。

 この孤児院出身で、みんなの頼れる兄貴といった感じだからね。


 シンオベロン選抜チームも、かなりの大部隊になってしまったのだ。


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