759.マグロ、ゲットだぜ!
トビウオの魔物を全て仲間にし、一息つく間もなく第二波が来た。
巨大な波飛沫とともに、超巨大な影が空中に跳ね上がった。
巨大ザメの魔物『イビル・メガロドン』だ。
まだ五体も残っていたようだ。
この巨大ザメ魔物は、普通の人にとっては恐怖だろうが、俺たちにとっては楽勝だ。
ただのデカい的でしかない。
『操魚の矢』を連続で打ち込んで、ジョージが仲間にした。
仲間になった『マナ・メガロドン』の話によれば、この海の魔物の領域で一番大きいのは『イビル・メガロドン』で、しかもその大きさはダントツだとのことだ。
次の大きな魔物となると、カジキ魔物になるそうだ。
カジキ魔物は、五メートルくらいなので一気にサイズダウンする感じだ。
もっとも普通で考えれば五メートルは、かなりデカいけどね。
百メートルというサイズが、巨大すぎるんだよね。
……もう海上に飛び出て、襲ってくる魔物はいないようだ。
「兄貴、海の中の魔物をデカい奴から、海上に弾き出させるよ!」
ジョージが、俺にそう声をかけた。
ジョージは、カジキの浄魔『マナ・ソードフィッシュ』たちを呼び寄せていたようだ。
彼らに、体当たりや尻尾を当てる攻撃をさせて、海中の魔物を海上に放り出させるつもりらしい。
すぐに海上に、カジキの魔物が飛び出てきた。
カジキの浄魔対カジキの魔物という戦いが、海の中では繰り広げられている。
だが、同じ大きさだとしてもカジキの浄魔の圧勝だろう。
『絆』メンバーになっているから『共有スキル』が使えるし、この前の戦いでレベルも上がっているからね。
……少しして、この魔物の領域にいるカジキの魔物を全て仲間にした。
全部で三十四体もいた。
次に打ち上がってきたのは、コブダイの魔物だった。
大きさが三メートル以上ある。
魔物化しているからか、コブが異常に大きい……というか伸びている。
そして口の牙もすごい。
それから……フグの魔物が飛び出してきた。
というか……あれはハリセンボンの魔物のようだ。
一メートルくらいある。
おお、体から針を伸ばして攻撃してきた!
かなり長く伸ばせるようだ。
まぁ俺たちには、通用しないけどね。
これらの魔物も、あっという間に仲間にしてしまった。
だが……いざやってみると、やはりキリがない……そして面倒くさい……。
倒してしまった方が、全然楽だと思う。
一旦休憩をして、ジョージとも相談したが、一気に仲間にして制圧するのは大変なので、一旦やめることにした。
この魔物の領域で強いと思われる大きいサイズの魔物は、ほぼ仲間にした。
他の魔物は、そのままにしても、浄魔となった者たちがここに住むから問題ないだろう。
この魔物の領域の魔物たちが、ここから出て人族の船を襲わないように監視してもらえば良いのだ。
そして、時々ハンティング気分でここに来て、魔物を少しずつ仲間にして制圧して行けばいいだろう。
そういう方針に切り替えることにした。
当初の予定通り、最初に仲間になった巨大ザメの浄魔たちも、大森林からここに移ってもらう。
住み慣れた場所で、のんびり暮らしてもらうのが良いだろう。
未だ魔物の領域のままだが、実質俺の仲間たちが支配してるようなものなので、ここの魔物が人族に被害を与えることはもうないはずだ。
事実上、制圧したと言ってもいいだろう。
『マナ・メガロドン』は、時々『メガロドンシップ』として出動してもらうかもしれないが、その時はここから出動してもらえばいいだろう。
この海の魔物の領域に名前がないと不便なので、一応『メガロドンの領域』と呼ぶことにした。
そして、これからが本題だ。
本来の目的、マグロ漁をしていこう!
マグロがいる大体の場所は、『シンニチン商会』のアンティック君から聞いて検討がついているので、今仲間になったばかりのトビウオの浄魔に探してもらった。
そして、すぐに見つかった。
早速、漁場へ移動する。
俺は、『波動収納』から飛竜船を取り出した。
海に浮かべて、マグロ漁をするためだ。
俺たちは、以前サルベージして引き上げた『魔法の釣竿』を取り出した。
陸ダコの霊獣『スピリット・グラウンドオクトパス』のオクティが使っているものだが、『波動複写』でコピーしてあるのでいっぱいあるのだ。
これを使って、みんなで釣り上げる。
ニアも人型サイズを維持しているので、今回は釣りができる。
釣りができることが嬉しいようで、ニアはかなりハイテンションだ。
俺たちは、『魔法の釣竿』を海に放り込む!
魔法の釣竿は、正式には『ミスリル銀の魔法釣竿』といい、『階級』が『
見た目は、一メートルくらいの棒なのだが、魔力を通すと、収納式の釣竿のように長く伸びて、三メートルくらいになるのだ。
竿と針の部分が『ミスリル銀』でできていて、糸は魔鋼でできている。
魔鋼の糸は、念の力で伸ばしたり、巻き戻したりできるので、機能的には、リール付きの釣竿と同じだ。
水中に入れると釣針が獲物を探し出して襲いかかるという、凄い機能を持っている。
もはや“釣り”という概念を置き去りにしている気もするが……この機能により確実に魚をとらえることができるのだ。
『魔法の釣竿』の機能もあり、みんな、すぐに引きがきている。
そして念の力で糸を巻き上げながらマグロを釣り上げ、そのまま放り投げる。
マグロの一本釣り状態は、かなり楽しい!
短時間で、大量にゲットした。
すべては取り尽くしていないが、五十体以上にはなった。
釣り上げたマグロは、頭を落として血抜きをして、『波動収納』にしまった。
『波動収納』は鮮度が落ちることがないから、非常に助かるのだ。
マグロを食べるのは好きだが、マグロ自体については詳しくない。
このマグロが、クロマグロなのか、ミナミマグロなのか、別のマグロなのかわからない。
ただ三メートルくらいの大きさがあるので、クロマグロではないだろうか。
『波動鑑定』をしてみたが、『マグロ』としか表示されないんだよね。
まぁマグロであることに間違いはないから、いいだろう。
これで念願のマグロの寿司が食べられる!
赤身、中トロ、大トロ……楽しみだ!
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