561.高貴なる騎士団、オリジナル装備。
選手紹介が終わったところで、模擬戦の構成内容についての説明があった。
まず第一戦は、弓術戦となる。
これは相対しての戦いではなく、弓の腕を競う勝負とのことだ。
第二戦は、パーティー戦となる。
複数人でパーティーを組んで戦う団体戦である。
今回は、五対五で戦うようだ。
第三戦は、タッグ戦だ。
二人一組でコンビを組んで戦うのである。
そして最後の第四戦は、個人戦となる。
一対一の勝負だ。
……いよいよ始まる。
セイバーン公爵軍が誇る『セイリュウ騎士団』と、ユーフェミア公爵が非公式に組織した大会限定の特別騎士団『
オレもワクワクが止まらない。
第一戦……弓術戦が始まる。
出場するのは、『
この二十日間で特訓し、レベルを45まで上げている。
魔物狩りにより、5レベルもアップさせたのだ。
『セイリュウ騎士団』からは、格付け第七位の弓士、ユミル=キュドウさんだ。
先程の選手紹介によれば、キュドウ男爵家の令嬢らしい。
二十八歳で、レベルは45とのことだった。
さすがエリート集団『セイリュウ騎士団』だけあって、レベルが高い。
『セイリュウ騎士団』は、銀色のベースに所々に金色をあしらった豪奢な全身鎧が基本装備のようだが、この弓士はそれのパーツ省略版のような軽鎧を身につけている。
小手、すね当て、胸当てのみ全身鎧と同じような材質デザインのパーツをつけている。
その他はレザーのような質感の服で、シャツとズボンという感じで上下に分かれているようだ。
動きやすさを重視しているのだろう。
ユミルさんは、明るい金髪をボブカットにしていて……ユーフェミア公爵とそっくりの髪型だ。
ユーフェミア公爵も金髪なので、完全に同じ髪型に見える。
というか……多分真似てるよね。
この人……絶対ユーフェミア公爵の熱狂的なファンだわ……。
ただ表情は冷静というか……怜悧な感じの美人だ。
アンナ辺境伯は、『
名称は『
俺と武具作りの名人と化している『家精霊』こと『付喪神 スピリット・ハウス』のナーナで作ったのだ。
製作は、『アラクネロード』のケニーや『ドワーフ』のミネちゃんにも協力してもらった。
デザインは、俺の元いた世界で女の子たちが憧れていたプリティーかつ癒しの美少女戦士の変身装備を参考にしている。
それに、俺が好きだった女神を守る鎧の戦士たちが身に付ける鎧のパーツを足したようなデザインになっている。
可愛いかっこいい……キュート・クールなデザインなのだ。
うーん……キュート・クール……なんかこの言葉で変身ヒロインの名前が作れそうだ……『愛と勇気の武装美少女戦士キューティクル』とかいいかも!
髪質が気になる感じの名前でもあるが……まぁいいだろう。
リリイたちに作ってあげようかな……。
でもリリイたちだと……美幼女戦士になっちゃうけどね。
いかんいかん、悪ノリが過ぎたようだ。
それはさておき、実は今回作った装備は、ユーフェミア公爵が固有スキル『
あの時の美熟女っぷりが忘れられず、それを参考にデザインしてしまったというのが正直なところである。
アンダースーツを着用し、そこに鎧パーツを装着する構造になっている。
アンダースーツは、『アラクネーロード』のケニーの『種族固有スキル』の『糸織り錬金』で作ったものに、蜂魔物で作った『ビーアーマー』のシースルーパーツを組み合わせた。
見た目はドレス風の半袖のブラウスとミニスカートだが、腕が露出する部分と足が露出部分には蜂魔物の羽根を使ったシースルーパーツが装着されているのだ。
手足が露出して、綺麗で可愛い状態を維持しつつも、保護されているという状態になっているのである。
今回はシースルーパーツのところも、肌にぴったりフィットする構造にしたので、ぱっと見は素肌のようにも見えるのだ。
アンダースーツの色は、白をベースにピンクの縁取りがされているデザインだ。
このアンダースーツにゴールドの鎧パーツを装着し、装備は完成するのである。
ゴールドの鎧パーツは、実は『オリハルコン』製になっている。
『オリハルコン』は、極めて貴重な魔法金属なので、気軽に使うことができないが、今回は身内ともいえる皆さんの装備だし、期間限定の特別な騎士団なので使ってしまったのだ。
俺がダンジョンマスターをしている『テスター迷宮』の『第一宝物庫』で手に入れたオリハルコンのインゴットを、いくつか使った。
といっても、実際作ってくれたのは『ドワーフ』の天才少女ミネちゃんだ。
ミネちゃんは、一族の中でも『オリハルコン』の扱いが天才的で、初めて会ったときにも『オリハルコン』を薄く伸ばして作った魔法の風呂敷を見せてくれた。
今回はその技術を使って、なんとオプションパーツで『オリハルコン』のマントも作ってくれたのだ。
実際には……ミネちゃんが作った魔法の風呂敷『魔法風呂敷 マルチブルクロス』をサイズ変更して、マント仕様にしただけなんだけどね。
ただそれ故に、『
ミネちゃんは、一応、『魔法マント
その性能は、魔力を流して念の力で自由に形を変えられるというものだ。
盾のように使ったり、鞭のように巻きつけて拘束したりできる。
マントとして使っているときは、背後の防御は鉄壁となる。
丸めると、打撃武器のメイスとしても使える。
そして、魔力を流して貯めておくことまでできるのだ。
それにより魔力が切れたときに、貯めておいた魔力を吸い上げて使うという魔力回復薬のような使い方ができるのである。
この軽鎧に装着することができるが、今のところ誰も装着していないようだ。
なんとなく反則装備な気がして付けないのかなあ……。
マントを付けた姿もかっこいいので……戦いが終わった後でもいいから装着してほしいのだが……。
鎧パーツは、ヘッドギア、肩当て、胸当て、腰当て、スネ当て、小手の六つで構成されている。
ヘッドギアは、ティアラと耳当てが合体したようなデザインだ。
肩当てと胸当ては、丸みを帯びたデザインにして女性らしさを強調した。
胸当ては、胸のみならず腹部もカバーする形になっている。
本来は胴当てと言うべきかもしれない。
腰当ては、アンダースーツのスカートを邪魔しない程度の大きさになっていて、ベルトのようなデザインになっている。
ベルトから下腹部を保護する板状のパーツが、いくつか垂れているという形状になっているのだ。
スネ当ては、靴と連なってブーツのように見える。
小手パーツは短めで、肘までは到達していない。
手の甲を守る手袋と連なって、手首を守る構造になっている。
我ながら、かなりいい感じだと思う!
一緒に作ったナーナに呆れられるくらい……情熱がこもってしまったのだ……。
弓は、アンナ辺境伯は、俺が以前渡した『双蛇弓』を使うようだ。
そしてユミルさんも、同じ『双蛇弓』のようだ。
前にセイバーン軍に購入してもらっていたから、与えられたのだろう。
おそらくこのユミルさんは、セイバーン軍の中で一番の弓の使い手だろうから、その人に俺が作った『双蛇弓』を使ってもらうのは、すごく嬉しい。
きっと他にも素晴らしい弓を持っていただろうから、作り手として純粋に、めっちゃ嬉しい!
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