466.ようこそ、温泉へ。
キンちゃんたちのお披露目は何とか終わったが、ユーフェミア公爵たちは皆放心状態のようになっている。
キンちゃんたちが一時的にドラゴンの姿になっているだけであるということと、コウリュウ様の使いではないということは理解してもらえたようだ。
ここは、気分を取り直して……親睦を深めるための宴会をしようと思う。
せっかくこれだけのメンバーが集まってくれたからね。
そしてその場所は……温泉旅館だ!
前から考えていたプレオープンとして、正式にユーフェミア公爵たちを招待することにしたのだ。
ゆっくり温泉につかってもらって、美味しい料理で宴を楽しんでもらおうと思っている。
俺は、旅人が訪れて湯に入りながらゆっくり体を休めて宿泊できる施設を作ったことを伝え、今からそこに招待するという話をした。
この話に、みんなは放心状態から脱出してくれて、喜んでくれたようだ。
ということで、早速転移の魔法道具を使って、不可侵領域にある俺たちが作った温泉旅館『ピア温泉郷 妖精旅館』に案内した。
いい機会なので、俺の仲間になっている『使い人』の子たちやその家族も呼ぶことにした。
『虫使い』のロネちゃんとその両親のトルコーネさんとネコルさん、『蛇使い』のギュリちゃん、『石使い』のカーラちゃん、『土使い』のエリンさんと父親ハンクさんと母親トルーディさんと妹のキムさんと弟のケビン君、『植物使い』のデイジーちゃん、『魚使い』のジョージたちだ。
それぞれの
あとは、いつもの俺のパーティーメンバーをフル動員だ。
『ロイヤルピクシー』のニア、『エンペラースライム』のリン、『ミミックデラックス』のシチミ、『スピリット・オウル』のフウ、『竜馬』のオリョウ、『ワンダートレント』のレントン、『スピリット・ブラック・タイガー』のトーラ、『スピリット・タートル』タトル、『スピリット・ブロンド・ホース』のフォウ、人族の女の子リリイ、猫亜人の女の子チャッピー、『アメイジングシルキー』のサーヤ、兎亜人のミルキー、アッキー、ユッキー、ワッキーだ。
もちろん、この温泉旅館の大女将の『アラクネーロード』のケニー、若女将の『ドライアド』のフラニー、そして俺の分身ともいえる『自問自答』スキルの『ナビゲーター』コマンドのナビー顕現体にも一緒に参加してもらうつもりだ。
ちなみに招待したのは先程秘密基地『竜羽基地』にいたメンバー全員で、 第一王女で審問官のクリスティアさん、その護衛官のエマさん、ユーフェミア=セイバーン公爵、その長女のシャリアさん、次女でピグシード辺境伯領執政官のユリアさん、三女でピグシード辺境伯領『ナンネの街』の代官のミリアさん、アンナ=ピグシード辺境伯、その長女のソフィアちゃん、次女もタリアちゃん、ゲンバイン公爵家長女で王立研究所の上級研究員のドロシーちゃん、エレナ=ヘルシング伯爵、ヘルシング伯爵領執政官のキャロラインさん、ドワーフの天才少女ミネちゃんの十三人だ。
俺は温泉旅館全体を案内し、まずは温泉に入ってもらうことにした。
今回は、ちゃんと女湯と男湯に別れて入るように。念押ししておいた。
ちなみに男湯に入るのは、俺とワッキーとジョージ、トルコーネさん、ハンクさん、ケビン君の六人だ。
今日こそは、ゆっくり温泉を満喫できそうだ!
男が少ないから広々と使えるし、いい感じだ。
とはいっても、動物型の仲間たちはこっちに来てもいいということにしたから、結構きてるんだけどね。
最初はリリイとチャッピーも俺と一緒に来たいと駄々をこねていたが、今回は女子がいっぱいで女子会的な楽しさがあると気づき、我慢してくれたようだ。
ただ前に入浴した時は、女子も一緒に入ったのかという質問がクリスティアさんから出て、俺は苦笑いしていたのだが……
ニアが普通に「当たり前じゃん」と答えてしまった。
そして、クリスティアさん、エマさん、シャリアさん、ユリアさん、ミリアさん、エレナさん、キャロラインさんという大人女子たちから、壮絶なジト目を使われてしまった。
クリスティアさんたちは、その後男湯に入ろうとしていた。
ただそれはユーフェミア公爵と、アンナ辺境伯が阻止してくれたので、本当に助かった。
ユーフェミア公爵は、「今は直球勝負の時じゃないんだよ! もっと違う作戦を考えなと!」と何やら不穏な発言で女子たちを丸め込んで、女湯の方に連れて行ってくれた……。
ちなみに女湯の方は、ニアと、ナビー、サーヤ、ケニー、フラニーがお湯の種類などを説明してくれているようだ。
なんかよくわからないが……女子たちで楽しくやっているようだ。
さっきから大きな笑い声や、キャッキャした楽しい声が漏れ聞こえている。
『使い人』の子たちも含め今日初めて会う人たちも多いのだが、みんなもう打ち解けているようだ。
やはり“裸の付き合い”というのは、いいものかもしれない。
身分の違いのあるこの世界で、高い身分のユーフェミア公爵や第一王女のクリスティアさんたちが、気さくで分け隔てないというのも大きいと思う。
普通なら国の王女や公爵と一緒に風呂なんて、びびっちゃうところだろうけど、そんな感じにはなっていないみたいだ。
子供や若い子が多いというのもあるかもしれないが、貴族とかを全く気にしていないニアの存在も大きいかもしれない。
ニア自身、妖精女神と崇められているにもかかわらず、全く偉ぶるところはないし、どっちかっていうと……完全な“残念さん”だからね。
しばらくして、楽しい温泉タイムが終わった。
次は、大宴会場で美味しいご飯を食べてもらおうと思っている。
宴タイムだ!
ちなみに温泉には、みんな一時間以上入っていた気がする……。
大丈夫だろうか……普通のぼせちゃうと思うんだけど……。
そう思いつつ待っていると、浴衣を着込んだ女子たちがケニーに先導されてやってきたのだが……
やっぱり、みんなのぼせているようだ。
顔を火照らせている。
「いやー気持ち良かった! あんた、また凄いの作ったね。毎日来たいよ」
「ほんとですわね、お母様。領城にも作りたいくらいですわ。こんなものを作るなんて……ほんとにもうグリムさんて何者ですの!」
「私も全身が癒されましたわ。グリムさんは、やっぱりセイバーン家に……」
「もう……凄すぎる……グリムさんは私のものになってもらいます!」
「「ちょっと、ミリア!」」
ユーフェミア公爵とその三姉妹シャリアさん、ユリアさん、ミリアさんは、それぞれすごく喜んでくれているようだが、一部不穏な発言がある……スルーしよう……。
「いろんな種類のお湯に入れて……楽しいし、癒される。こんな発想……思いもつきませんでした。やっぱり覚悟を決めるしか……」
「お供します。是非思いを遂げてください。わたしも覚悟を決めています」
クリスティアさんとエマさんも、ニコニコしながら話しているが……瞳は真剣だ。
固く手を握り合い、なにかの決意をしているようだ……。
なんとなく……ここはスルーするところな気がする……。
「お母様、ほんと楽しかったわね!」
「私も毎日入りたいです!」
「そうね。こんな素敵なお風呂、私もはじめてよ。今度、領城でも薬湯を作ってみようかしら……」
ピグシード家のソフィアちゃんとタリアちゃん、そしてアンナ辺境伯も、満面の笑みだ。
そしてお肌もピカピカだ。まさに輝く笑顔だ!
「湯あみというのは、こうやって楽しいものなのね。今まで、こんな楽しみ方知らなかったわ……」
「ほんとよね。これからは……いつもこんな楽しいことがあるのかしら……眷属になれて、女の幸せを実感するわ……」
「え、お、女の幸せ……。わ、私だって、眷属でなくても、お、女の幸せを感じてるわよ! でも、グリムさんのことが……好きなわけじゃないから……」
「はいはい、エレナはほんと面倒くさいわね。私にまでそんなこと言わなくていいから。素直に好きって言えばいいのに……」
エレナさんとキャロラインさんも、いつもの勇ましい表情とは違い綺麗可愛い女子っぽい表情をしている。
そしてなぜか……二人で俺を見つめているが……なんとなく獲物としてロックオンされたような気配が……ここもスルーするところだろう……。
「ミネちゃん、私この温泉をもっと楽しくする改造案を思いついたんだけど……」
「本当なのです? 実は、ミネも思いついちゃったのです! この温泉を拡張して、もっと面白くなるように魔改造しちゃうのです!」
人族の天才ドロシーちゃんとドワーフの天才ミネちゃんが、目をキラキラさせてはしゃいでいるが……なにかを思いついたようだ……。
ちょっと怖い気もする……今日はスルーしておこう……。
そして……この温泉旅館がまかり間違っても武装とかされることがないように……泡風呂のためのジェットバス装置の依頼をかけておこう。
そこで彼女たちのアイディアの方向性をチェックしとかないと……温泉ロボみたいなのができたら大変だからね。
彼女たちが開発した魔導砲付きの浮遊戦艦ミニトマトの衝撃が強すぎて……つい心配になっちゃうんだよね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます