459.川賊のアジトを、潰しちゃおう!
俺たちは、拿捕した
あまり離れたところには行っていなかったので、すぐに港に着いた。
俺は『闇影の義人団』のメンバーでもある衛兵長のフィルさんに、
事情聴取が必要だろうからね。
フィルさんの話では、捕まっていた人たちは事情聴取を終え、問題がなければ解放されるようだ。
俺は保護した人たちに、今後についての協力を申し出ておいた。
戻れるところがあるなら、速やかに帰れるように協力をするし、行くあてがないなら仕事を世話をするという話をした。
『フェアリー商会』で雇用してもいいと思っている。
いずれにしろ、一旦俺の屋敷に来るように地図を書いて渡した。
川賊たちが持っていたものは、退治した俺に所有権があるので、船に積んでいたお金などは全て没収してあるが、捕まっていた人たちに分けようと思っているのだ。
今後の生活のために、お金が必要になるだろうからね。
それに、奴隷同然に働かされていた分の賃金という意味もあるし。
ちなみに川賊船にあった硬貨は、約三百万ゴル分あった。
あとは、ちょっとした食料と武器だけだった。
おそらくアジトには、かなりの財宝や商品などがをあるだろう。
俺はこの迷惑な川賊たちのアジトを潰してしまおうと思っている。
港に戻ってくるまでの間に、拘束した川賊からアジトの場所は聞き出してある。
第一王女で審問官のクリスティアさんのような『強制尋問』スキルはないが、いつものように、ちょっとした物理力の行使で聞き出したのだ。
といっても今回は、『スピリット・グラウンドオクトパス』のオクティが担当したのだが……。
八本の腕で絡み付くという物理強制力を使い、情報を聞き出してくれたのだ。
実際には……聞き出したのは俺で、オクティは絡み付いていただけなんだけどね……。
それから虫馬『サソリバギー』のスコピンが、毒針を近づけたとことも大きかったかもしれない。
……決して俺たちは凶悪集団ではない……断じて違うのだ!
川賊から奪った船は、今後『フェアリー水産』を立ち上げて、漁業をするときの船にちょうどいい。
それからフィルさんの話では、川賊退治については確実に報奨金が出るそうだ。
報奨金をもらってしまうと、ヘルシング伯爵領の出費が増えてしまって申し訳ない感じだが、その分はこの領の収益源確保のための特産品作りの活動などに当てようと思っている。
各市町に『フェアリー商会』の加工場を作るにしても、広い用地を買わなきゃいけないし、結構お金がかかるからね。
報奨金としてもらうお金は、全てこの領に対する投資として還元することになるからいいだろう。
それに捕まえた川賊たちは、犯罪奴隷としてこの領の労働力になるから、領として損はないはずだ。
俺たちは早速、川賊のアジトの壊滅に向かうことにした。
海賊たちのアジトは、マナゾン大河を北上したヘルシング伯爵領側の支流の一つを入ったところにあるらしい。
支流に入って少し進むと入り江が広がっていて船着場ができている。
そして陸の部分には、大きな屋敷と倉庫らしきものが建っている。
普通に見ただけでは、川賊のアジトとは思えない。
俺たちはすぐに船をつけて、アジトを急襲した。
本気で行けば瞬殺で制圧できるが、今回は『魚使い』のジョージとその
他のメンバーは、フォローに回るのだ。
ここでもオクティは、八本の魔法釣竿を使って無双状態になっている。
本当にオクティにぴったりの武器という感じになってきた。
陸地なので『サソリバギー』のスコピンもようやく活躍できる感じだ。
ジョージを背中に騎乗させ、盗賊たちに突進し跳ね飛ばしまくっている!
そして跳ね飛ばすタイミングで、うまく『状態異常付与』スキルで『眠り』を付与させている。
結構、上手に戦えている感じだ。
倒してしまってもいい魔物と戦うよりも、無力化しなければならない対人戦の方が難しかったりするんだよね。
慣れないと、殺しちゃいかねないからね。
スコピンのメインの攻撃は、『サソリバギー』だけに、左右のハサミ腕と尻尾の毒針だ。
ハサミ腕はともかく毒針尻尾は、対人戦では使いにくいはずだ。
対人戦での物理攻撃としては、今やっているように跳ね飛ばすとか、ハサミ腕で殴るという程度のことしかできないだろう。
スコピンの青黒い体は、全身鎧のように硬い外皮に覆われているので防御力はかなり高いはずだ。
並の川賊では、ほとんどダメージを与えられないのではないだろうか。
今日のところは特に問題になっていないが、スコピンは接近戦での攻撃手段しかない。
今後のために、中距離攻撃は遠距離攻撃ができる武器が装備できないか、考えたほうがよさそうだ。
そういう意味ではジョージも普段使いできる中距離、遠距離攻撃できる武器がほしいところだ。
『
このアジトに潜んでいた川賊は、三十四人だったので、程なくしてジョージたちだけで無力化できた。
捕まっていた人たちも、三十四人いた。
それから船着き場には、俺が最初に拿捕した船と同じサイズの船が二隻、小型の漁船のようなものが五隻あった。
屋敷の庭には、鶏が八十羽飼われていた。
他にもヤギが二十二頭が飼われていた。
屋敷のカシラの部屋には、奪い取った硬貨や装飾品が保管されていた。
予想通り、かなりある。
硬貨だけで五、六千万ゴルはありそうだ。
装飾品はあまり多くないが、真珠のネックレスなどがある。
倉庫のほうに移ると、奪った商品が積んであった。
ほとんどは、最近奪ったもののようだ。
食料品が多いが、衣料品や雑貨もある。
この盗品を見て思ったが、食料品は自分たちで消費するにしても、他の商品はどこかで売って金にしないと意味がない。
どうしているのだろう……?
普通に考えると、盗品を買い上げる闇ブローカーのような者がいそうだけど……。
そこで俺は、海賊のカシラを起こし尋問した。
今回もオクティによる絡め手……もとい、絡みつきの物理強制力を伴う尋問で、簡単に吐かせることができた。
やはり川賊から盗品を買う闇ブローカーがいるらしい。
このマナゾン大河沿いには、他にもいくつか川賊の組織があるらしいが、皆盗品は同じところに卸しているそうだ。
盗品を買い上げる闇ブローカーは、表の顔は普通の商会らしい。
とんだ悪徳商会だ。
なかなか面白い展開になってきた……
その悪徳商会を突き止めて叩き潰せば、芋づる式に他の川賊も根こそぎ殲滅できるかもしれない。
今後ヘルシング伯爵領やピグシード辺境伯領の特産品などがスムーズに流通するためには、川賊の存在は邪魔でしかない。
この際だから、根こそぎ排除してしまおう!
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