289.幻の、虫馬。
「ロネちゃん久しぶりなのだ!」
「おひさなの〜」
リリイとチャッピーが、ロネちゃんに嬉しそうに近づいて挨拶をした。
「二人とも久しぶり。元気だった? 紹介するね、ギュリちゃんとカーラちゃん、私たちもリリイちゃんたちと同じくグリムさんの仲間になったからよろしくね!」
ロネちゃんが、ギュリちゃんとカーラちゃんを二人に紹介してくれた。
「リリイなのだ。よろしくなのだ!」
「チャッピーなの〜。よろしくなの〜。仲良くしたいなの〜」
リリイとチャッピーが、体をクネクネさせながら挨拶をした。
なんか……凄くかわいい……。
「私はギュリです。よろしくお願いします」
「カーラです。二人の話は、ロネちゃんから聞いてます。私たちも強くなるように、がんばります!」
ギュリちゃんとカーラちゃんも、嬉しそうに挨拶をした。
彼女たちの方が年上なのだが、なんとなくリリイたちを先輩扱いしている感じだ。
三人で大森林で特訓をしている話を聞いて、リリイとチャッピーも目を輝かせながら、一緒にやりたいと言ってきた。
三人には早速大森林に戻ってもらおうと思っていたが、少し時間があるのでリリイとチャッピーも一緒に行かせてあげることにした。
レントンたち他のメンバーも一緒に行きたそうだったので、希望するメンバーはサーヤに一緒に連れて行ってもらうことにした。
後で迎えに行けばいいからね。
ギュリちゃんやカーラちゃんと親睦を深めることもできるし、いいだろう。
ということで、子供たちを中心に一緒に大森林に戻っていった。
とりあえず最初に仲間になったフジたち十体と今回救援に来てくれた三十体を、俺の直属の飛竜部隊として預かるという話を、改めて族長にした。
族長からは、いつでも協力するので飛竜が必要になったら連絡してほしいと言われた。
俺の仲間の騎竜になるなら、みんな喜んで協力するとのことだった。
飛竜が数多く仲間になったので、領軍に飛竜部隊を作らせて飛竜を貸し出しするか……それとも私設の飛竜部隊を作ってみるというのもいいかもしれないね。
一時的に飛竜を貸すのはいいけど、長期的に貸すのは微妙な気もするし……私設で飛竜騎士団でも作ろうかなぁ……
そして依頼があったら応援に駆けつけたり……
『警備保障』部門を立ち上げて、街の治安維持活動をしてもいいかもしれないし……。
もしくは『闇の掃除人』の配下の極秘飛竜部隊にしてもいいかもしれない。
影から守る秘密組織みたいな感じもかっこいいかも……。
逆に完全に表立った平和利用として、『長距離運送部門』を作って『飛竜便』みたいなものをやってもいいかもしれないな……。
まぁそこは後でゆっくり考えるとしよう……。
飛竜たちがいつでも稼働できる状態にしておけば、かなり離れた距離でも短時間で移動できる。
サーヤの転移がなくても、機動性がかなり上がるから大幅な戦力アップといえる。
里やコロニーの飛竜たちの強化も、大森林の『アラクネ』のケニーや霊域の『ドライアド』のフラニーに任せれば大丈夫だろう。
オープン回線で『絆通信』を繋いだので、状況は把握してくれているし、定期的な訓練の受け入れを計画してくれるとのことだ。
もちろん移住する飛竜たちの世話もしっかりしてくれると思う。
そろそろ帰ろうかと思っていると、族長がまた俺に近寄ってきた。
「グリム様、実はこの山脈には、かなり希少な生物が残っているのです。山の麓にいる魔物の存在や険しい山道が外部の者の侵入を拒んできたのです。そのため、希少生物の集団が点在しています。もしよろしければ、時々遊びに来てご覧になってはどうでしょう。もしもグリム様のお仲間にしていただけるなら、それだけでも彼らは安全になりますし、希少生物を守ることにもなります」
族長がそんな面白い話をしてくれた。
希少生物がいろいろいるなんて…………心躍るに決まってるじゃないか!
ちなみにどんな生物がいるのかと思って尋ねてみると……
「まずこのすぐ近くには、今となっては希少な存在となった『シルクキャタピラー』の大きな集団が住んでいます。彼らも飽和気味で、新しい居住地を探していると思いますが……」
なに! シルクキャタピラー!
それはもしや……
前にアンナ辺境伯が言っていた『レインボーシルク』という凄い糸を吐く、超希少な
「『シルクキャタピラー』は、すぐ近くにいるのかい?」
「はい。すぐ近くにおります。ご案内しますか?」
すぐ近くなら行くしかないよね!
ということで、早速案内してもらうことにした。
すぐ近くといっても隣の山だったが、飛竜に騎乗して移動すると確かにすぐ近くではある。
おお……凄い!
虫馬の『ランドキャタピラー』の真っ白バージョンの子たちがいっぱいいる!
俺たちが舞い降りると、みんな最初警戒していたのだが、リーダーらしき『シルクキャタピラー』が近づいてきて、俺にクンクン顔を近づける。
なんか……めっちゃ可愛いけど……。
俺は、尋ねてみることにした。
「君たち、俺の仲間になってくれないかい?」
すると……『シルクキャタピラー』たちは、一斉に首を縦に大きく二回振った。
おお……二回ということは、承諾してくれたということか……
『絆』リストを確認してみると……『
早速『絆通信』をオープン回線にして、全ての『シルクキャタピラー』と繋ぐ。
(仲間になってくれてありがとう。俺はグリム、よろしくね)
(強き王よ、配下にお加えいただき、誠にありがとうございます。あなた様のお役に立ちとうございます)
リーダーらしき一体が、そう言ってくれた。
(君たちは、特別な糸を吐くことができるのかい?)
(はい。我々の吐く糸は、強度も強く抗菌、防カビ性能があり、速乾性があって通気性もよいのです)
そう言うと近くの木に向けて、口から糸を出してくれた。
綺麗な糸だ……
光に当たって、いろんな色に輝いている。
確かに『レインボーシルク』といわれるのが分かる気がする……。
(できれば……君たちのその糸を使わせてもらって、人族が着る衣服などを作りたいんだけど……協力してもらえるかな?)
(喜んで協力させていただきます。この里も手狭となり新天地を探しておりました。あなた様の下なら安心でございます)
リーダーの一体がそう言うと、他のみんなも一斉に首を縦に二回振った。
了承してくれたので、俺は簡単に大森林や霊域の仲間たちのことや『共有スキル』で強化されていることなどを説明してあげた。
そして霊域に五十体、大森林に五十体、俺の牧場に五十体移住してもらうことにした。
それによってこの『シルクキャタピラー』の里も、面積的にも大分余裕ができるだろう。
霊域と大森林に移住してもらうメンバーは、すぐに移動してもらうことにした。
俺の牧場に移住してもらうメンバーは、牧場の準備ができ次第、迎えに来るということにした。
『ナンネの街』に、『シルクキャタピラー』用の牧場を作ろうと思っている。
そして帰り際に『シルクキャタピラー』のリーダーが、この里の『シルクキャタピラー』たちが吐き出した糸玉を大量にプレゼントしてくれた。
曲芸で人が乗るくらいの大きさの糸玉が大量だ!
『シルクキャタピラー』たちは、里の周囲の木を利用して、里を囲むように何重にも外敵の侵入を防ぐ糸の防壁を張り巡らせているそうだ。
そのとき以外でも、定期的に糸を吐いた方が体調が良くなるようで、周囲に張る必要がなくただ吐き出した糸はボール状にして、取ってあったらしい。
それを大量に譲ってくれたわけだが……
これだけで当分足りてしまう気がするが……。
定期的にこの糸玉だけを貰いに来れば、無理に牧場で住んでもらわなくてもいいような気もする……。
ただ、『シルクキャタピラー』がいないのに、『レインボーシルク』があるのは不自然なので、やはり牧場には移住してもらおうと思っているが……。
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