82.迷宮前広場、拡張計画。

 俺は、ケニー、アリリ、フラニーを中心に仲間たちと相談し、霊域の『大霊樹』の前の広場に一つと、この大森林の『テスター迷宮』前の広場に一つ家を建てることにした。


 ちなみに、この大森林の『テスター迷宮』前の広場は、みんなが集まるのにちょうど良いので、大人数で集まって宴会ができるような施設を作ることにした。


 施設といっても、開放型がいいのでキャンプ場のようになりそうだが……。


 この話には、ケニーもアリリも大喜びしてくれた。

 ケニーは触脚をツンツンさせるし、アリリは産気づくし、面白かった。


 また、フラニーからは、霊域にも作ってほしいと懇願された。


 丁度復興中で、今なら『大霊樹』前の広場を大幅拡張可能だそうだ。


 このところ、毎日、午前、午後で開催していたというお茶会を霊域でも実施できるようにして、浄魔たちにも霊域に来てもらいたいとのことだ。

 二ヶ所で順番にお茶会をすれば、よりフラニーとカチョウが参加しやすくなるかららしい。


 俺に否やはない。

 もともと、霊域の復興はフラニーに任せていたし、交流を深めることはいいことだ。


 ちなみに、霊域の復興は、順調に進んでいるらしい。



 この迷宮前の広場も拡張することにした。

 他にも作りたい施設があると提案があったからだ。


 訓練とレベル上げの場も、しっかりしたものを作りたいのだそうだ。


 ということで……


 ○俺の小さな家


 ○その周りにみんなが集まる大きなスペース


 ○みんなで訓練する広いスペース


 ……を作ることにした。


 将来的には、ケニーや希望者の家も作ってもいいかもしれない。


 そしてもう一つ、ケニーの強い希望で仲間たちのレベル上げをするための隔離施設を作る。

 どうも闘技場のような形のものを作りたいらしい。


 ケニー曰く、訓練でも実力は上がるが、やはりレベルを上げるには大分効率が悪いらしい。


 魔物を倒すことがレベル上げでは一番効率が良いのだそうだ。


 そこで、ケニーはこの大森林に隣接する山脈やその向こうにある魔物の領域から魔物を生け捕りにしてくるつもりのようだ。

 その魔物を使って、闘技場のような隔離した場所で訓練を兼ねたレベル上げを行いたいらしい。


 俺もすぐに許可した。


 いいアイデアだと思う。

 本当に真剣に考えてくれていてありがたい。


 ケニーには優秀な部下が沢山いるようで、特に『マナ・ホワイト・アント』達は、蟻塚というダンジョンにも似たような施設を、あっという間に作ってしまうらしい。


 今後視察に行くことにしたが、もうすでにこの大森林に何カ所もの『蟻塚砦』を作ったらしい。


 地上部はタワーのようにそびえ立ち、地下部には巨大空間が広がっているとのことだ。


 ただ地上部はあまり突出してしまうと目立つので、周辺樹木の高さからほんの少しだけ出てる程度に抑えているらしい。


 対空哨戒ができる程度の高さということだろう。


 そしてデザインや形もいろんなものができるらしい。

 今から見るのが楽しみだ。


 そして地下部は、やろうと思えばいくらでも無限に広げられるらしい。


 もうダンジョンが作れるんじゃないかと思ったら………


 ケニーの長期的な戦略では、この大森林全体を迷宮のような形にして万全の防衛体制を築きたいらしい。


 やっぱ、そうなるわけね。


 本当に優秀過ぎるわ。


 もちろん、このケニーの案も承諾済みである。


 地下に巨大な空間が作ってあれば、地下シェルターみたいな使い方もできるかもしれないし。


 何かの天変地異、天災が起きても、ある程度地下の深いところに巨大な空間があれば、そこに避難して難を逃れることも可能かもしれない。


 そういう意味でもいいと思ったのだ。


 ちなみに迷宮前広場の拡張や各防衛エリアの『蟻塚砦』建設で、樹木等が邪魔な場合は、フラニーの森魔法で他の場所に移植することができる。


 無駄に樹木を切り倒さずに済むのだ。


 大きな樹木をそのまま移植できる森魔法は、ほんとにすごい。


 前にも聞いたが、もし仮に根ごと抜けてしまっても、直後の状態なら移植が可能らしい。

 時間が経つと無理らしいが。

 そして木が切り倒されても、切り株が残っていれば、新芽を芽吹かせるのはすぐできるらしい。


 森魔法はほんとに便利だ。


 俺は、『テスター迷宮』前広場の構想をみんなと打ち合わせする。


 『テスター迷宮』を中心に、正方形に広場を作り、迷宮の入り口が東側に向かって開いているので、東側にみんなが集まる施設と、俺の家を建てる。


 北側に闘技場のような施設を作る。

 その東並びに北東の角に向けて訓練スペースを作る。


 西側と南側は、今のところ予定がないので、一旦そのまま広場という形にした。


 仲間たちの住む街みたいになっても面白いかもしれないけど……


 それにしては、スペースが小さいかもしれないけどね……。


 この拡張する広場は、正方形だが、円に見立てれば、半径1.5Kmから2Kmといったところなのだ。


 当然、これらの施設はすべて、迷宮から半径10キロ圏内に敷いた最終防衛ラインの内側にある。


 最終防衛ライン及びその周辺の防衛エリアの強化充実も同時に図ることになった。


 もっとも、そっちは、ケニーとその部下たちに丸投げだが……。


 ケニーのやることだし、ほぼ地上からの侵入はできないような強固なものになるだろう。


 ただ、ケニーも言っていたが、今回のように空からの侵入には脆い。


 対策も……非常に厳しい。


 霊域のように守護の力が働いて、悪意や敵意のある者が侵入できない不可視の障壁が張れれば良いのだが……


 フラニーに訊いたところ……


「あくまで霊域の力によるものなので……魔素が濃いとはいえ、この魔域である大森林には同じような力は出せないと思います。残念ながら…… 。ただ、今後も色々と考えたり調べたりしてみます…… 」


 ……とのことだった。


 まぁ空からの侵入は、今後の課題ということにするしかないだろう……

 特に効果的な策も現時点で思い付かない。


 空を飛べる戦力が増えればいいんだろうけど……

 そのぐらいしか思い付かないし……。


 まぁこれもケニーに任しておけば大丈夫だろう。


 いつもの丸投げが一番うまくいく方法なのだ……

 え、えへん……だから……丸投げしているのだ……

 決して面倒くさいわけではない……決して……。

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