31.ハイスライムの、その先へ。
ニアは、レベルが2上がって47になったそうだ。
レベルは、高くなるほど上がりにくくなるはずだが、こんなに簡単に上がるのだろうか……
そう思って『自問自答』スキルのナビーに訊いてみると……
ニアが無双した『コカトリス』は、レベル的に格下であり大きな経験値は多くないはずである。
また、霊域で倒した魔物たちも相当な数だが、ニアにとっては格下であり、それほど大きな経験値とは思えない。
むしろ、俺がレベル52の『中級悪魔』を五体倒したことで、同じパーティーメンバーであるニアたちにも、同じ基本経験値が入り、後はレベル補正で上乗せされ、その分でレベルが上がったのではないかとのことだ。
もう一つの可能性は、俺の『促成栽培』スキル、これは派生効果でパーティーメンバーの成長も三倍になる。
これが経験値も三倍入るということなら、この影響かもしれないとのことだ。
現時点ではデータが少なすぎて、正確にはわからないみたいだ。
もちろん、『絆』スキルの『相互援助』コマンドから、俺が得た経験値の1%相当も入手されているだろうが、それほど大きな数字ではないだろう。
もし、パーティーメンバーだから悪魔殺しの経験値が入ったのだとすれば……
……パーティーメンバーなら気絶などで戦線離脱さえしなければ、俺一人が高レベル魔物を倒しても、全員に同じ基本経験値が入るということになる。
確かに、そうでないと回復役とかはレベルアップができないからね。
そういう扱いになるお陰で、適材適所のチーム戦ができるということにもなるはずだし。
逆にいえば、育てたいメンバーをパーティーに入れて、俺やニアが魔物を倒せば、低レベルメンバーもあっという間にレベルが上げられる。
つまり“パワーレベリング”が簡単にできるということになる。
新しいキャラを入手した時に、ゲームでよくやっていたことだが、現実でもできるかもしれない。
今度試してみよう。
ニアの <通常スキル> だが、『毒耐性』を獲得していたそうだ。
これもイビルバタフライの毒を受けた時だろう。
俺同様、一度受けただけで獲得し、ラッキーだと喜んでいた。
ただ、残念ながら『棒術』スキルなどは手に入らなかったようだ。
使ったのは一回だし、あの使い方じゃあね……ピクシーホームラン……。
他はいくつかのスキルのレベルが1つ上がったそうだ。
次はリンちゃんの確認をしよう。
「リン、おいで」
「はい、なに?」
「ステータスを見るけどいいかな」
「はい、リン強くなった、もっと強くなる!」
早速見てみると……
おお……レベルが4つも上がって 38から42に跳ね上がっている。
やっぱり俺が倒した悪魔経験値が効いてるのかもしれない……
新しく増えたスキルはないようだが、レベル10に達してなかったいくつかのスキルが上がっている。
そしてリンによると、レベル40を超えたので、『ハイスライム』から『ロイヤルスライム』にクラスチェンジできるらしい。
ニアは、『ハイピクシー』の技などが体に馴染むまでは、『ロイヤルピクシー』へのクラスチェンジは見送ると前に言っていた。
今回もクラスチェンジしないそうだ。
リンはやる気のようだ。
一応、確認してみる。
「やる! あるじのため、強くなる! 」
大きく二回バウンドしたリンは、完全にやる気だ。
本人がやる気ならいいだろう。
許可を出すと……
リンが光の繭に包まれ、すぐに繭が弾ける。
現れたリンは、ぷるぷる震えている。
緑色がまた少し濃くなった気がするが、前より光沢があるようだ。
おお……色が変わった……水色……ピンク……オレンジ……黄色……そして緑に戻った。
いろんな色に変われるようになったらしい。
新しいスキルは、種族固有スキルとして、『合体指揮』というのが増えている。
複数のスライムを自分と、もしくは自分以外のスライム同士で、合体させることができるらしい。
その際、レベルが合体したスライムの合計になるらしい。
合体解除で、元に戻ることもできるようだ。
レベル1のスライムを十体合体させれば、レベル10 の一体のスライムになるということか。
もし100体合体させられるなら、レベル100のスライムになるということなのだろうか……
そんなことがほんとにできるなら……かなり凶悪で、便利なスキルだが……
いや……これはもはやチートだな……
仲間のスライムでないとできないらしいが、もし仲間スライムが、いっぱいいれば……
今度スライムを見つけたら、テイムしてみるか……
リンは、さっきからうれしそうに「がんばる」と宣言しては、ビョンビョン三回飛んで、体をプルプルさせている。
余程嬉しいらしい。
クラスチェンジでエネルギーが体に満ち溢れているのかもしれないね。
よし、最後にシチミ行ってみよう。
おお……すごいすごい!
レベルが16から28に跳ね上がっている。
シチミもパーティーメンバーに入ってるから、やっぱり悪魔殺しの経験値が効いてるのかもしれない。
ただ、今回倒した魔物たちは、シチミにとってはほとんど格上ばかりだったから、通常戦闘の経験値も多かっただろうけど。
ニアが倒した『コカトリス』も、リンが頑張った『イビル・バタフライ』も、『ボルの森』での防衛戦も、全て大きな経験値だったろう。
もっと上がってもいいぐらいかもね。
おそらく、経験値の計算はいろんな要素が複雑に絡み合っているのだろうけど……。
<通常スキル> は、『噛みつき』がレベル9まで上がっている。
『物理耐性』がレベル10、『気配察知』がレベル 7、と結構一気に上がっている。
シチミも、『毒耐性』スキルを獲得したようだ。
<種族固有スキル> は、『箱擬態』と『マルチトラップ』がレベル10、『時空間収納』と『宝物召喚』がレベル6とこちらも一気に上がっていた。
「シチミ、すごいレベルアップだね」
そう声をかけると、嬉しそうに蓋を三回開閉させて、変なステップを踏んでいた。
「これでオイラも、バッチリ役立ってみせるぜ!」
「期待してるよ」と握手を交わした。
ちなみに、『ミミック』は『オリジン』だからか、レベル20を超えてもクラスチェンジしないようだ。
今後、クラスチェンジが発生するかもしないが、現時点ではないみたいだ。
おや……シチミが、何やら言いたそうにしている………
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます