第2話 疑問
参ったな、、、
よりによって、隣の木に飛び移れる枝がない松の木に登ってしまった。
リスのメラ、いわゆる姉ちゃんは、困っていた。
下には、野犬の群れがウロウロしている。
きっと、人間の街から、匂いを追いかけてきた奴らだろう。
きっと、簡単に諦める様な奴らじゃないよな。。。。
弟のメイチは無事に逃げたかな?
こんなところにいたら、無事の確認もできない。。。。
うーーーーーん、困った。。。
「なんにもできなーーーーい♪」
メラが下の野犬を見ていた所に、遠くの木からモモンガが飛んできた。
「こんばんわ、野犬に追われているリスのお姉さんですか?」
「あんた誰?言葉が喋れるのね。もしかして弟に会ったの?弟は無事?」
矢継ぎ早に、質問を浴びせられた。
「ぼくはカイト、弟君は安全な場所に隠れてもらったから大丈夫。きっと、半分くらい問題解決ね。」
「ありがとう、確かに半分は解決ね。と言うことは私は生きて脱出しなきゃダメね。」
「じゃぁ、僕が囮になって奴らを引きつけるから、その間にあっちの木まで走って登って。
そしたら、枝伝いに逃げれるよ。」
カイトは野犬達を引きつける様に、出来るだけ低く隣の木まで滑空した。
しかし、野犬達は全くカイトに興味をしめさない。
カイトは飛び移った木の下に降りて挑発してみたが、それでも野犬達は全くカイトに興味をしめさない。
しかたがないので、木のてっぺんに登り、一本松までまた飛んで戻った。
「ダメだ一匹も追いかけてこない。僕が素早いから、捕まえるのは無理だとわかっているのかな?もともとこの森には野犬はいないのに、どこから来たんだろう?」
メラは、いちいち説明されるのも、ちょっとウザイと思ったが、不思議だった。
メラが少し低い枝に移動すると、野犬達は凄い勢いで吠えるが、カイトが地面近くまで下がって行っても、ずっとメラばかりを見ている。
「もしかして、キミにしか興味ないのかな?」
「そうかもね。恨みを買う覚えはないけど、相当嫌われているみたいね。奴らは普通の野犬じゃないかもしれない。」
「普通じゃないって、、、」
その時の「フンガー!」っという声を挙げながら、イノシシが凄い勢いでやってきて、
野犬の群れに突っ込み、次々と突き飛ばして行った。
あっという間に野犬達を追い払ってしまった。
「凄い!」
あまりの勢いにカイトは目が点になった。
しかも、そのイノシシの背中にさっきの弟リスが乗っている。
カイトの頭の中には?が飛び交っている。
「ドトウありがとー、助かったわ。メイチもドトウを案内してくれたのね。助かった。」
メラは嬉しそうに声を掛けている。
どうやら、ドトウはイノシシで、メラとメイチの仲間の様だ。
「さっき、カイトさんがねーちゃんを助けに行ってくれたあとにドトウに出会えたんだ。野犬から逃げてドトウを追いかけていたんだけど、いつのまにか追い抜いてたみたい。もしカイトさんが僕を止めてくれてなかったら、いつまでもドトウに出会うことができなかったよ。」
イノシシの背中で上機嫌にメイチが話している。
リスじゃなかったのか・・・
そのドトウがカイトの正面にやってきた。
「あんたがカイトさんかい。どうもありがとうな。こいつは思い込んだら猪突猛進だから、全然周りが見えてねえ。あんたのお陰で助かったよ。」
「嫌だなぁ〜。イノシシに猪突猛進って言われたら、リスの立場がなくなるよ。」
一同笑っているが、カイトには気になることがあった。
「あの野犬達、僕には無関心だったんだけど、変だよね。あんなに近くを飛んだのにメラしか見えてないみたいだった。どういう野犬なの?」
急にみんな静かになった。
カイトは、何か言ってはいけないことを言ってしまったのかと心配になったが、気になることにはちがいない。
「多分だけど」メラが話し始めた。
「研究所の強化動物じゃないかな?」
強化動物?カイトにはわからない言葉で、ポカンとした表情になったので、メラが補足してくれた。
「私達は、ずっと向こうの、夜も明るいライトを照らしている人間の街の隣にある向こうの山で幸せに暮らしていたの・・・」
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