黒が来る

別所高木

プロローグ

第1話 遭遇

ふあぁぁぁー!

明るくなりかけた東の空に、オリオン座が昇って来るのを見ながら、大あくびをした。


モモンガのカイトは、木から木へと滑空を繰り返しながら寝床に向かっている。

いつもの森、いつもの星空、これから朝日が出て、暑い昼間が始まるのかと思いうんざりだ。


とその時、地面を走る一匹のリスが見えた。

なんで、夜明け前なのに昼間に木の上で暮らすリスが地面を走ってるんだ?

しかも、あんなに広い所を走ってるとフクロウに見つかったらイチコロに捕まってしまう。


カイトはリスの近くの木に着地して、声をかけた。

「おーい、こっちだ!」

リスは必死の形相で走りながらも、カイトの声に反応してやってきた。

「はぁはぁはぁ」激しく息をするリスにカイトは問いかけた。

「どうしたんだい?あんなところ走ってるのを、狐やフクロウに見つかったら捕まっちゃうよ」

「野犬の群れに追われて、姉ちゃんとはぐれちゃったの。僕は身体が弱くて、姉ちゃんが囮になってくれて、、、、必死に逃げてきたんだけ。でも、いつもだったらすぐに姉ちゃんは追いついて来るのに、今日は来なくって。ドトウに助けてもらおうと思って一生懸命走っていたんだ。」

「姉ちゃんは何処にいるんだ?」

「この広場の向こうの林の中に谷があって、その向こう側!」

「わかった、お前はこの木の上に隠れていろ。俺が見てきてやる。」

カイトは木から木へと滑空を繰り返し、林の中に向かった。

「ドトウって?今夜見たリスはさっきのやつだけなんだけど?」

ガサガサ!カイトが飛ぶ下の茂みで音がした。

何か大きな動物だが、リスに隠れている様に言った木の上なら見つからないだろう。

そう思ってカイトは先を急いだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る