第6話 ニセモノ

 俺は「より人間に近いアンドロイドをつくる研究」によりつくられた。その研究者が「君には何かが足りない」と言った。その何かが「愛」であると思った。


 俺が笑ってるつもりでも「お前の笑顔は偽物っぽい」と鼻で笑われた。笑顔とは、口角を上げ、目尻を下げ、温和な表情や声色によって作られるものじゃないのか。……よく、分からない。鏡を何度見ても、俺には笑ってるようにしか見えない。


 そんな時、君に出会った。小さな花屋はたくさんの人で溢れかえり、忙しなく動く女性が目に入った。……笑っていた。これまで何人もの笑顔を見てきたが、彼女ほど魅力的に感じられなかった。


 彼女の隣なら、オレも笑えるかもしれない。そう、思ったんだ。

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