第4話 本官まるだし

 激突の予感……は、しかし現実のものにはならなかった。


 天から落ちてくるサメ! シャーク! 数多ものフカの群れは数え切れないほどで、しかもそのことごとくが空中にいるというのに、獰猛に獲物を求めていた。


「この間、マグロが降ってきたと思ったら、今度はサメぇ?」

「奴ら、追いかけてきやがったか!」


 いつの間にか起き上がった鎖鋸チェーンソー付喪がドルンドルン猛る。


「ま、まさか、本官の本官はこのときのために」

「左様じゃ、宿主」


 なによ、このシリアス()な空気。


「ちょっと待った! 鎖鋸チェーンソーさん、あなたカミソリで人を切りつけておいて、なに正義の味方ヅラしてるんですか!」

「まあまあ、ここは本官に免じて……」

「お前、本官まるだしだからな、猥褻物陳列罪」

「……アッハイ」


 冷たい真の声に、警察官の心も凍った。


「そのまるだしの本官である妾が忠告するが、あれはニンジャカラステングザメ。千年に一度現れるシノビの技を極めたニンジャカラスザメよ! カカッ!」

「あ、確かに真ん中のあいつ、巻物咥えてる!」


 黒いサメが巻物咥えてニンニンとしているのはなかなかにシュールな姿だ。


「あ、文字数もなくなってきた。ウオオオオ! 行くぞ!」


 真たちの勇気が世界を救うと信じて!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る