第3話 タンブル・ウィード 風に任せて飛び回る

 真、すかさず手に持っていた鞄を投げ、ボレーキックで蹴り付ける。鞄は弧を描いて鎖鋸チェーンソー付喪の横腹へ。モノの激突する音と、轟く悲鳴。


「不運でも 鍛えておけば 大丈夫

……そう、お婆ちゃんはいつも正しい。それに、日本史の教科書にも書いてあった」

「清廉なJKには形容し難い場所」から生える幼女に、鎖鋸付喪、そして真。暫し、睨み合う。


 ——焦るな、呼吸を整えて、私。。だから、なんとかなる。

 一瞬の鎖鋸付喪の隙を見て、地面を蹴る。向かうのは……全裸の警官へんたいの方向。


「はうぅ! 本官な状態の本官にJKが走ってぇ!?」

「私は変態じゃありませんからねぇッ!」


 そして——警官の足元に散らばる布切れの下から、警棒と拳銃を拾い、構える。


「そう、警官さえ来れば。私の武器が、揃えば! ……まぁ警官さんはちょっと予想外だったケド」


 ——それに、「JKが知らない所」から生える可愛い娘、おそらく……


「ふふん、判るか。妾を見て瞬き一つしないだけはある」


 幼女、呼びかける。

 真、返す。


「……なるほど、なんでもお見通し、と……あ、べ、別にアレが気になるちょっとだけならとかミリも思ってないですからっ!」


 ——場に、重い風が漂う。

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