(6)問題点の解決(というか粉砕)
陽子ちゃんがチラッとこちらを見ている。あー。なんか話を振ってくる気だ。執行部三役の一人、監査委員の日向肇くんの方を見たら私から何やら視線逸らしているし。
そうしているうちに陽子ちゃんが私に言った。
「ねえ。会長の意見はどうなの?」
陽子ちゃんはとっても笑顔で意見をもとめてきた。陽子ちゃんはこの状況、私が嫌だと思っているだろう事は見抜いていて平定したいならやってというサインだと受け取った。
この状況、1年生の時の文化祭でのクラスの展示で揉めた時の展開に似ている。あの時、クラス委員長だった肇くんが陽子ちゃんに私が何をしでかしたか話をしてそうだなと思いつつ、確かにさっさと片付けたいと思ったので受けて立った。
「公平にローテーションで決め方を回していけば?験担ぎしたい部もしたくない部もその方が公平でいいでしょ?」
肇くんがアシストで質問してくれた。
「古城、そうするとして今年はどう決める?」
「うーん。……去年、一昨年の話って図書委員会の引きの良さって事だよね。それって音田先輩?」
力強く二回も首を縦に振る運動部・文化部の出席者一同。うわあ。そこまで音田先輩の運の強さって信じられてるんだ。
「音田先輩ももう卒業されたんだし、図書委員会の引きの良さがそう続くと思えないんだけど。とはいえクジ引きは嫌だというクラブも多いみたいだから、2人1組でジャンケンして一番勝ったクラブの代表が決めたらいいんじゃない。これなら運任せじゃないし」
図書委員長の宮部さんの方を見るとどうも廊下の方を気にしている。そして廊下には何やら女性らしき人影が見えている。
「ねえ、宮部さん」
「はいぃ?」
声が裏返ってるし。ははーん。
「仮定の話としてするけどさ」
「……なんのことでしょう、古城さん?」
「もしもだよ、図書委員会のジャンケンとかクジ引きの代理で音田先輩がここに来て代わりにやるとか考えてないよね?」
「古城さん。もちろんそんな事は考えて…ま…せん」
私は宮部さんに笑顔であえて少し大きな声で言った。
「だよね!」
不思議な事に廊下にいた人影が頭を項垂れるとすごすごと帰っていった。やっぱりか。音田先輩も大学のオリエンテーリングとかいろいろあるでしょうに、もう!
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