第8話 初めての夜のお店
新宿歌舞伎町の雑踏、色んな音で溢れてるこの街!しかし、ドラゴンボールおっさんの耳には自分の心臓の鼓動が聞こえるのみだった。ドックン、ドックンと(どんだけ緊張してるんだよ)!
その様子を見かねた友人は、ソフトの方、すなわち、セクキャバに目的地をさりげなく変更した。お店につき一通りの説明を受けて席に腰かけるとすぐに嬢が姿を現した。緊張MAXのドラゴンボールおっさん。どうして良いか分からないおっさんは、聞かれてもいないのに、自分の生い立ち、お店に来た経緯、自分の現状、その全てを洗いざらい話した。すると嬢はドラゴンボールおっさんの顔を自分の双子山(要するにおっぱいのことな)に押し付けて静かに言った。『職業に貴賤の差はない』、そして、今度は彼女が自身の身の上話を語り出した。女性が夜の仕事を始める典型的な理由が語られただけだったのだが、ドラゴンボールおっさんにとっては驚愕の事実だった。そして、自分よりも年下で、かつ、遥かに恵まれない環境に身を置きながらも、それでも前を向いて体を張って生きている!!おっさんはその姿に女の強さを見た。そして、彼女との対比で自分の弱さを自分自身に見た。良い歳ぶっこいて実家に居候を決め込み、好きで始めた会計士受験であるにも関わらず、合格しない事を環境のせえにし、周りに当たり散らし、バイトで作っ100,000で良い気になり今ここにいる。不甲斐無い自分、情けなく卑怯で卑屈な自分、前を見るべき時に横(周りからの目)を気にしてやるべき事に集中していなかった自分。自分の過去に耐えきれず、感情が爆発し、涙腺が崩壊したおっさんは、嬢の胸の中で嗚咽を漏らしながら泣いた。嬢の胸はおっさんの涙と鼻水でぐちゃぐちゃになるも、嬢はおっさんの頭を優しく抱きしめるのみだった
続く
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます