第13話 ケルベロス、ロリコン疑惑
オッサンに俺に関して、神が関わっている事をマヤが伝えに行ってくれるらしい。
そしてサラは俺を一人の男のもとへと案内してくれる事に。その男は俺がイモータルに慣れるまでの間、行動を共にしてくれる、いわゆる教育係らしい。
「よっ、ケルベロス。俺はユーマってんだ。よろー」
紹介されたのはユーマという男だった。
俺と同じぐらいの年齢……不死身になったのが十代後半ってところだろうか。第一印象はとにかくチャラい。口調も軽いが、サラに対しても「サラっち、おつー」といった感じで態度も軽かった。
それに服装がだらしない。だぼついた服を着ていて、耳、首、腕、指と至るところにアクセサリーを付けている。アクセサリーだけで何キロあるんだか……。
まあ、正直こんなのでもイモータルではマシな方らしい。
「こいつは見た目も中身も軽いが、イモータルで一番周囲に害がない男だ。しつこくナンパして衛兵から呼び出しくらう事あるが、金が掛からないし、ものを壊さない、まともな男だ。こいつだったらケルベロスを安心して任せられる」
「そうそー、安心しなー。俺は建物に向かって投げたり、窓突き破る勢いで体当たりしないからさー。てか、入団早々ベリーハードだねー。ウケるー」
金の掛からない奴=まとも
そんな公式がサラの中にはあるのだと思う。そうでなければ、こんなチャラい奴をまともな奴とは評価しない。
日頃団員達に振り回されているのだろうとサラの苦労を垣間見えた気がした。
「できるだけユーマと行動を共にするようにしてくれ。部屋も同室になる」
「え? ケルベロスと同室になんの? おー、いいよー。あ、でも時々さ、女連れ込むから、その時はちょっとだけ外出ててくれね?」
「宿に連れ込むな、娼館に行け!」
「へいへーい。ま、よろしく」
「お、おお……」
こうして俺はユーマと暫く行動を共にする事となった。
まあ悪い奴ではないと思う。こいつから話を聞く限り、チャラくて女好きなだけで、時にナンパをしつこくして衛兵が出て来る騒ぎを起こすだけの普通の男だ。
……普通ってなんだっけ? なんか常識が麻痺してきたような気がする。
サラとは別れ、ユーマが現在使っている部屋に入れて貰う。
部屋の中は特段変わったところはない。強いて言うなら女性が使うような香水の匂いが少しするくらいだ。こいつ、既に連れ込んでるな……。
ユーマは二つあるベッドの内、奥の方のベッドを指差す。
「じゃあケルベロスはそっちなー。てか、凄い名前だなケルベロス。俺はロリコンって名前を提案したんだけどな」
「どうしてそんな不名誉な名前にした!? 俺、別にロリコンって訳じゃないぞ!」
「いやー、なんかロリコンぽいなーって。イモータルの団員で誰知ってる? フェルは知ってるよな? お前に体当たりして落とした奴。それとカーシャは分かるか?」
「ああ、その二人なら分かる」
フェルはつい先程窓をブチ破って落とされたばかりで忘れたくても忘れられない。それとカーシャは昨夜モモンモンの肉を譲ってあげてタロスの膝の上で黙々と食べていた少女だ。
「サラより、フェルやカーシャが好きだろ?」
「俺はちゃんとおっぱいとお尻が発達した女性が好きだ!」
酷い決めつけだ。俺がいつロリコンを疑われるような事をしたっていうんだ。
「え? マジで? おっぱい大きい方が良いの? 未発達な幼く瑞々しいプニプニとしたボディを舐め舐めしたいとか思わないの?」
「お前には俺がどんなふうに見えるの!?」
そんな変態に見えるの? え、ちょっと不安になるんだけど……。なんとなく二十歳手前で見た目は普通の男だと自覚があったんだけど、そんな事を疑われる容貌なの?
物凄く鏡を見て確認したいけど残念ながらこの部屋には鏡はないようだ。
自分の顔は気になるが、とりあえずユーマは俺がロリコンではないと分かってくれたようだ…………だけど他の人は大丈夫か? 俺の事をロリコンだなんて思ってないよな?
「なあ、ユーマ。お前以外にも俺がロリコンだと思ってる奴は居るのか?」
「いや、ロリコンと思っていたのは俺だけだ。自信あったんだけどなー」
何処からそんな自信が湧いて来るんだ……。
まあ、何はともあれ良かった。ユーマだけか。彼だけなら、別にそこまでロリコンと思われるような変態チックな面はしてないだろう。安心した。
「ショタコンと思っているのはかなり居るけど」
「俺いったいどんな面してんの!?」
ショタコンっぽい面って何? 確かに名前を付けられるときにロリコンと共にショタコンと提案されていたけど、どうしてロリコンよりもショタコンの方が多いんだ。せめて女性の方にしてくれよ。幼いというのはどちらを選んでも変わらないのなら、俺はロリコンを選ぶ。
……いや、ロリコンと思われるのも嫌だけどな。
今度俺の事をショタコンと思った人には是非一度話してみたいものだ。
「まあ、ロリコンでもショタコンでもないのは分かった。それじゃあ、どんなおっぱいが好きなんだよ」
「唐突だな」
「別にいいじゃんか。ちなみに俺はクレアだなー。分かる? クレア、料理担当の人」
「ああ、昨日会ってる」
「じゃあ分かるだろ。あの人のおっぱいはイモータルで一番でかいぜー」
確かにクレアのおっぱいは大きかった。巨乳を通り越して爆乳だ。トレードマークの赤いエプロンを持ち上げる、あの存在感は凄かった。昨日は初対面という事もあって、おっぱいへ視線を向けないように頑張ったが今思い返せばもっと見れば良かったと思う。
「ちなみにクレアのおっぱいが最も輝くのは、料理している時。あの人は団員全員分の食事を用意すっから、動きが半端ない。そしてその激しい動きにおっぱいが揺れる揺れる…………おっぱいの揺れに注目し過ぎると目を回すぜ」
「……マジか」
それは良い事を聞いた。料理しているところに出くわしたら拝ませて貰おう。
「そんで? ケルベロスはどんなおっぱいが好きなんだ?」
「どんなおっぱいか……」
過去の事は思い出せないので、イモータルの女性で想像してみよう。
クレアの爆乳は……良いな、うん。とりあえず第一候補だ。それからカーシャとフェルは無乳か。まあ、子供だし仕方ない。それとマリア、彼女のおっぱいは意外と大きい病気で体は弱っているが、胸への栄養は充分にいっているらしくクレアには及ばないが充分巨乳に値するものだった。そしてエリカ。彼女もデカかった。もしかするとクレアと同レベルの爆乳。ただ、彼女は腕や足の筋肉がかなり発達していたので…………なんか硬そうなおっぱいだ。あとは……マヤ。彼女は一般的なサイズだったな。手から少し溢れるサイズ。巨乳とまではいかないが、平均的なサイズよりは大きい……上位の乳、上乳とでも言おうか。クレアのものと比べると、なんだか安心できるサイズだ。
だけど、どれかを選ぶのならやっぱり大きいのが好きだ。ユーマと同じくクレアのおっぱいが一番………………あれ? 誰かを忘れているような、あ。サラだ。
サラのおっぱい……。
サラの……おっぱい……。
サラ…………おっぱい…………。
おっぱい、あったか?
んんっ? おっぱい、あったか彼女? あ、あれ、記憶が…………まさかサラのおっぱいに関しての記憶を失ってしまったのだろうか。これでは、まるで彼女のおっぱいがないような…………あ。
俺は気付いてしまった。
どうしてサラのおっぱいに関しての記憶にないのかを。
そうだ。彼女はなかったのだ。おっぱいが。いや、あるけど無いに等しい薄い胸、即ち貧乳。その存在感のなさに、他のおっぱいの強烈な存在感によって消えてしまったのだ、彼女のおっぱいは。
俺は思わず強く唇を噛みしめた。
他人のおっぱいのせいで、自分のおっぱいをなかった事にされるなんて。そんな悲しい事はあっちゃいけない。どれも等しくおっぱいなのだから。貧乳といっても別に無い訳ではないんだ。サラの貧乳も立派なおっぱいだ!
「おいケルベロス。いい加減どんなおっぱいが好きか言えよ」
「クレアのような大きなおっぱい」
……まあ、大きいのが好きだけどね。
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