35話
「……はぁ。本当にめんどくさい」
「アレン君はセドリック様みたいなタイプとはあまり合いませんものね」
苦笑いを浮かべながらアレン君の隣に立って王宮の庭を見下ろせば、月明かりを浴びてキラキラと輝く薔薇が見える
それに見蕩れていると、後ろの方からパーティーの開会の言葉が聞こえてきた。
新入生歓迎パーティーが始まった。
「リリアン、アレン。こんな所にいたのか」
「こんばんわ!リリアン様」
「アルフレッド殿下、それにラルドリア様。ごきげんよう」
ラルドリアちゃんは可愛らしい水色のドレスを着ていつも下ろしている白髪を横だけ編み込んで流している。
……そう言えば、このパーティーでもイベントがあったんだよな……
確か、飲み物を取りに行ったらリリアンとぶつかってしまって、しっかりと謝ったけれど怒ったリリアンにドレスにジュースをかけられるのだ。
そしてそれに心を痛めた殿下が私の婚約者がごめんねと言いながら替えのドレスを用意する…だったかしら。
その中で、授業で男子生徒の魔力暴発に巻き込まれて怪我したことも心配されたりするのよね。
…………ん?授業で怪我?男子生徒の魔力暴発……?あれ、それってこの前私があった事件と丸かぶりじゃない?
もしかして私ヒロインのイベントとった!?嘘でしょ、そんなことある?!
「……ン……リア…
リアン!」
「はひっ!?…ど、どうされましたアレン君?」
「どうしたのはこっちのセリフ…大丈夫?顔色が悪い…」
「え、あ…だ、大丈夫ですわ」
いや、とったとしても大丈夫よ。
アルフレッド王子が私を好きになることは無いし、着々とラルドリアちゃんとくっつく雰囲気はできてる。
「もし体調が優れなければ奥で休めばいい。部屋はある」
「あ、ありがとうございますわ。でも大丈夫ですわ、少しぼーっとしていただけですの。少し飲み物を取ってきますわ」
「…あ」
アルフレッド王子の心配を遠慮して3人から離れて真ん中の方のドリンクや食事が置いてあるところへ向かう。
アレン君を置いてきてしまったが、少し冷静になって戻ればいいだけだ。
まさか知らず知らずのうちにイベントを起こしてしまっていたとは…
「きゃあ!」
「あ、申し訳ございません。大丈夫ですの?」
考え事をして歩いていると誰かとぶつかってしまった。
意識を戻すとそこには尻もちを着いてこちらを涙目で睨みつける黒と赤の少し露出の高いドレスを着たバンシーさんが居た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます