31話

「ラルドリア様?どうしてここに…?」


「リリアン様!目が覚めたのですね!」


パタパタとベットの傍によってきたラルドリアちゃんに声をかければ安心したような笑みを浮かべた。


「……何しに来たの?」


「あ、そうでした!

今日の授業での事なんですけど、やはりアレンさんの言う通り、リリアン様を襲った火の玉を出した男子生徒は元々あれだけの魔法を出せるだけの魔力を持っていなかったんです。」


「……」


「なんの話しですの?」


男子生徒?魔力を持っていなかった?

一体なんの話をしているのかわからなくて、私の頭はより混乱する。


「あの男子生徒から魔法が出るのを見たという方々は沢山いるようなのですが、いくら検査をしてもあの魔法を出せるだけの魔力量の減りは見られていません。先生方もどうして暴発したのかまだ分からないらしくて……」


んん…?これってもしかして、授業中に私に向かってきた火の玉の話してる?


「暴発と言うよりは誘発だと思うよ。」


「誘発ですか…?」


「うん。上から見てたら、確か魔界魔術の生徒の一人が自分の読んだ魔族に何か吹き込んで、その魔族が動いた瞬間に火の玉が暴走してたから。」


「な!?っていうことは誰かがリリアン様の命を狙ってるってことですか!?」


え、嘘。私誰かに狙われてたの…?心当たりないんだけど……

というより、本当に私の命を狙ってたのかな…だったらもっと勢いよく飛ばしたりとかできたんじゃないかな…

思い出してみても、もうちょっと早く気付けたらよけれたし、私もそこまで重傷を負ってない。

なんとなく私を殺すよりも、もっと別の目的があったような気がするんだよね……


「……とりあえず、僕が見たのはそれだけ。わかったら早く出てってよ…リアンは病み上がりなんだけど…」


「あ、すみません!…私はこのことを先生に伝えてきます。

……リリアン様、お大事に…犯人はしっかりと見つけますから!」


「え、あ……ありがとうございますわ…」


ラルドリアちゃんは、すごいスピードで保健室から去っていく。

それを見届けていると、ぎゅっと、また抱きしめられた。


「あ、アレン君?」


「…ごめん…もう少しだけ……」


「……」


ぎゅーっとしばらくくっついていると、気が済んだのかアレン君が離れた。


「多分もう馬車はついてると思うから…」


「あら、もうそんな時間でしたのね!早く帰らないと、お兄様たちに怒られてしまうわ!

アレン君、早く帰りましょう?」


アレン君の手を引いて、保健室からでる。

今日のことは確かに怖かったけれど、命は無事だったのだから、今日のところは良しとしましょう。

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