28話

アレンくんに手を振ったあと、すぐに授業に意識を戻す。

目の前には、色々な薬草が生えている。少し出しすぎたかとも思ったけれど、先生にはこれだけ精霊を使役できるのは素晴らしいと褒められた。


「さすがです!リリアン様は本当に魔法を使うのがお上手なんですね!」


「ありがとうございます。昔からよく使ってましたので魔法には少し自信がありますの」


「そうなんですか…本当に凄いですね。私は全然ダメダメで……」


「うーん…これは私なりなのですが……

使い道、というのを考えてみるとどうでしょう?」


「使い道ですか?」


先生に褒められてちょっと調子に乗って魔法を使いまくっていると、アンナが来て褒めてくれた。

どうやら魔法を使うのに苦戦してるみたい。


「はい。私たちが魔法を仕えているのは、精霊たちのおかげです。

精霊たちも感情があるとほんで読みましたわ。だから私は、使う用途もないのに魔法で呼び出されると精霊たちも力を貸してくれないのではと考えてます。」


「……なる、ほど…使い道ですか……」


今回出した薬草たちは全部アレンくんが保健室にあればいいなとこの前話していた薬草たちだ。

桜や梅は前世を思い出してどうしても見たかったから。

海竜の宝草はアレンくんのお母様を治すため。

どの魔法を使う時もその魔法がどうしても必要な理由があった。


だからきっと精霊たちは必要としてる人に魔法の力を与えているのだと思っている。

だからこそ使い道とかを明確にイメージしなければ魔法は使えないのかもしれない。


「……水よ、我は水から生まれ水に生きる者なり…その呼び掛けに答え恵みを与えよ


水玉」


アンナが再度使ったのは初級魔法の水玉。手のひら大の大きさの水の玉を生み出せ魔法だ。

目をつぶっていたのを恐る恐るといったふつにアンナが開けるとすぐさま目を輝かせた。


「で、出来ました!出来ましたリリアン様!!お水を飲ませてくださいと願ってみたらできました!」


「だとしたら飲めるようになってると思いますわ」


私がそう言った瞬間、アンナの手のひらに浮いていた水の玉はその形を崩してアンナの両手の手のひらに納まった。

こぼれないのはきっと魔法の効果だろう


「……美味しい…水魔法の使い手が料理人につく理由がよく分かります!……でも、次は使えなかったらどうしましょう……」


「基本的に1度精霊が力を貸してくだされば、禁忌を犯さない限り使えなくなることはないですわ。あとは使い道をしっかり持つことです」


「っ!ありがとうございます!!リリアン様!!」


「リリアン様!危ない!!」


急にラルドリアちゃんの焦ったような声が聞こえる。そちらに目を向けると目の前には真っ赤な火の玉が迫っていた

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