27話 アレンside

「……あ、リアンだ。」


器具の整備や道具の整理が終わってぼーっとしていると、ふと窓の外にリアンを見つけた。

どうやら魔術の授業をしているようで、リアンは端の広いとこで植物を操っていた。


出現させる植物のどれもが薬草で、小さい頃に僕が持つ薬草の名前をこれは?これは?と聞いてきたリアンが懐かしく思えた。


目が合わないかな……

ふとそんなことを思って暫くじっとリアンの方を見つめてみたけれど、リアンがこっちに気がつく気配はなかった。


リアンをずっと見ていれば、チラチラと別のところに視線を送り続けていることに気がついた。

目線の先を辿ってみれば、入学式の日に王子に連れてこられた子と、昼休みに来てたうるさい子がいた。


『……ずっとあの二人のこと考えてるよねリアンって』

『そうですか?うーん…少し、気になることがあるので』


今日の昼休みの最後、リアンはそう呟いた。正直言って、リアンにずっと気にされてるって言うのはすごく気に食わない。


あの時だって、王子が連れてきた子をリアンがすごい心配そうに見てたから治療してあげただけで、本当なら直ぐに追い返して先生にでも治してもらえばいいと思ってたし。


そもそも、リアンのことを敵対視した挙句に王子の婚約者とか意味わかんない事言ったあの子に関しては僕はもう関わりたくないし……


「アレンくーん!!」

「……」


ふと下から聞こえた声に、目線を向ければそこにはリアンがいて可愛い笑みを浮かべながらこっちに手を振っていた。

振り返せばより一層花の咲いたような笑顔を浮かべる


……まぁでも、もうちょっとぐらいなら関わってもいいかもしれない。

リアンの不安が消えるまでは、だけど。


リアンはいつも不安そうに王子たちを見てる。リアンの不安だったり悲しそうな表情はそれはそれでいいものがあるけれど、心が締め付けられるような感覚になる。


それに何より、僕がリアンにさせたことの無い表情を、王子たちが向けられていることが気に食わない。


リアンの全部は僕が独占したいんだ。

だからこそリアンが一人で行動しないように、リアンが気にしてるうちは僕も気にしてあげる。

リアンが気にしてるうちは…ね

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