第12話 私の家族~☆

「私が、おまえを1人前の魔法使いにしてやろう。」

 泣き止んだエロメスに星の守り人のフェスが言う。

「よろしくお願いします。」

 エロメスは魔法など使ったことのない、 誰かに教えてもらわないといけないのだ。

「しばらくの間、銀河にある私の家で住み込みで修行してもらう。」

 フェスから魔法の修行のために住み込みと聞いたエロメスは「おうちに帰れないんですか?」「おまえは、もう通行人の女の子Bではない。時期に新しい通行人の女の子Bがやってくる。ここにお前の居場所はない。」

「そうですか・・・。」

 少しエロメスは複雑だった。自分がキャラクターになったせいで、代わりに誰かが通行人の女の子Bになるというのだ。

(がんばってね、次の私・・・。)

 エロメスは寂しそうな顔をする。

「行くぞ。」

「はい。」

 エロメスとフェスは金色のお星さまに乗り夜空を飛んで行く。エロメスの荷物は、ダイヤモンド姫にもらった星柄の傘だけだった。

「わあ! 空を飛んでいる~♪」

 エロメスが初めて飛んだ夜空は、金色のお星さまが無数にキラキラ輝いていた。

「きれい~♪」

 エロメスは空を飛んだのも初めて、空から地上を見たのも初めてだった。エロメスが通行人の女の子Bだった頃の立ち位置の上空を飛んでいた時、

「待って!」

 エロメスが何かを 思い出したかのように叫んだ。

「どうした?」

「あの・・・動物を連れていっても、いいですか?」

「動物?」

「私の立ち位置に行くまでの道に子犬と子猫が捨てられていて、毎日、立ち位置に行く時にミルクをあげてたんです。私がいなくなったら、あの子たちの面倒をみる人がいなくなっちゃう。」

 エロメスは通行人の女の子Bの頃から子犬と子猫のお世話をしていた。

「あの子たちを連れて行ってもいいですか?」

「いいだろう。」

 エロメスたちは地上に降りた。

「ワン~♪ ニャア~♪」

 エロメスが近づくと子犬と子猫が近づいて来た。

「ケーリー~♪ バーキン~♪」

 エロメスは両膝をついて、子犬と子猫を抱きしめる。子犬も子猫も白い毛並みは黒ずんでいたり、体格はやせ細っていた。

「私、キャラクターになったんだよ。名前もついたんだよ。」

「ワン~♪ ニャア~♪」

 エロメスは、子犬と子猫に今日の出来事を笑顔で話した。子犬と子猫は、なんと言っているかはわからないが、「おめでとう。」と言ってくれているようだ。

「それでね、これから魔法の修行で、ここを離れないといけないの・・・。もう、ミルクを持ってきてあげられないの・・・。」

「ワン・・・、ニャア・・・。」

 エロメスのさびしさが子犬と子猫にも伝わり、子犬と子猫の鳴き声も寂しそうになる。

「・・・一緒に来る?」

 エロメスは、子犬と子猫を見つめながら恐る恐る話を切り出す。ドキドキ。もしも一緒に来てくれなかったら、これが最後になってしまう。

「ワン~♪ ニャア~♪」

 子犬と子猫は強い眼差しで強い鳴き声で「一緒に行きたい!」と言っているようだ。

「ケーリー~♪ バーキン~♪」

 エロメスは子犬と子猫を抱きしめた。そしてエロメスは両肩に子犬と子猫を乗せた。

「一緒に行こう!」

「ワン! ニャア!」

 エロメスと子犬と子猫は力強く前を向いている。

 つづく。

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夜空のお星さま~☆ 渋谷かな @yahoogle

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