第11話 プレゼント~☆

「名前の決まった、お祝いだ。」

通行人の女の子Bはエロメスという「意味深い」名前に決まり落ち込んでいた。

「やれやれ。」

フェスは自分のネーミングセンスに少し責任を感じ仕方がないという感じで「少し、待っていろ。」フェスは金色のお星さまに乗って飛んでいった。

「エロ・・・エロ・・・エロメス・・・。これが私の名前・・・個性ありすぎの キャラクター名だわ・・・。」

 エロメスはかなりのダメージを受けて落ち込んでいた。

「これをやろう。」

 しばらくして、フェスが帰ってきた。エロメスにHマークの入った紙袋を差し出す。

「これは、もしや!?」

 エロメスは紙袋から中身を取り出す。

「わ~♪ きれい~♪ スカーフだ~♪」

 エロメスは笑顔で喜んだ。

「身につけてみたらどうだ?」

「ええ!? いいんですか!?」

 エロメスはスカーフを首に巻いてみた。スカーフの巻き方を誰かに教わったことはない。ただ、ただ毎日オシャレなスカーフを巻いてお買い物に来るお姫様方を、 自分の立ち位置から眺めていた。

「いいな・・・。」

 見ている間にスカーフの巻き方を覚えたのだった。通行人の女の子Bだったエロメスは「私がスカーフを巻くことはない・・・。」と思いながら、エロメスは眺めてきた。スカーフを巻いてオシャレをしながら買い物をする。笑顔のお客さんをエロメスは眺めてきたのである。

「ジャ~ン! どうですか?」

 エロメスは通行人の女の子Bの頃から憧れていたスカーフを、ついに自分の首に巻いた。

「あれ?」

 エロメスの目から涙がこぼれてくる。

「おかしいな? うれしいのに、涙が出てくる?」

 エロメスは、指で涙をぬぐう。

「キャラクターになったからさ。」

 フェスは後ろを振り返りながら独り言のように言う。

「うえん、うえん。」

 エロメスは声をあげて泣いた。泣いたというよりも涙が止まらない。通行人の女の子Bとして暑い日も台風の日も雪の降る寒い日も、自分の立ち位置に立ち続けた。そんな自分がキャラクターになり、自分の名前をもらい憧れだったスカーフを首に巻いている。

「うえん、うえん。」

 エロメスは感極まって、涙が止まるまで泣き続けた。フェスが後ろを向いたのは、彼なりの優しさだろう。

 こうして「エルメスのスカーフを巻いたエロメス」は誕生した。

(早口言葉みたいだ、3回連続で言えるかな?)

 つづく。

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