第7話 夢と希望~☆
ザー。ある雨の日。通行人の女の子Bは、いつものように自分の立ち位置に立っていました。
「クシュン!」
通行人の女の子Bは傘も差さずに髪も服もビショビショになっていました。
「少し熱っぽいかな?」
通行人の女の子Bは風を引いてフラフラしていました。通行人の女の子Bは自分の立ち位置から動けません。ただ誰かに声をかけられたら「傘を忘れちゃった~♪」と笑顔で言うために・・・。
そこに1台のダイヤモンドの馬車がやってきました。オシャレなお店の前で止まりました。馬車の扉が開き中からダイヤモンドのティアラをした、かわいい女の子と男の子が馬車から降りてきました。
「かわいい~♪」
通行人の女の子Bは、かわいい女の子をジーっと眺めていました。
「クシュン!」
通行人の女の子Bは体調が悪かったので、くしゃみをしてしまいました。くしゃみに反応して、かわいい女の子が振り返りました。カワイイ女の子は召使いからビニールの傘を1本もぎ取りました。
そして傘も差さずに、かわいい女の子は雨に濡れながら、通行人の女の子Bの方に近づいてきます。
「これを使って。」
かわいい女の子はビショビショの通行人の女の子Bにビニールの傘を差し出しました。
「え!?」
通行人の女の子Bは驚きました。自分のセリフを忘れて・・・。
「も、もらえません!」
通行人の女の子Bは傘をもらうことを拒否するが「風邪を引いてるんでしょ?
あなたつらそうよ。」というと、かわいい女の子は通行人の女の子Bの手にビニールの傘を持たせました。
「私は、ダイヤモンド姫、あなたは?」
笑顔のダイヤモンド姫は自分の名前を名乗り、通行人の女の子Bの名前を聞いてきた。
「・・・通行人の女の子Bです。」
通行人の女の子Bは聞こえるような聞こえないような暗い小さな声で答えた。
「私は、あなたがうらやましい。だって、あなたは「自分の人生を変える」ことができるのだから。」
ダイヤモンド姫は笑顔で言いました。
「私が!?」
通行人の女の子Bは驚きました。通行人の女の子Bは通行人の女の子Bのままで終わっていく運命と思っていました。自分の人生を変えようなんて考えたことは1度も無かったのです。
「夢と希望は、なによりも大切よ。」
ダイヤモンド姫は、まるで自分に言い聞かせているようだった。
「夢と希望・・・。」
通行人の女の子Bは夢と希望など考えたことがなかった。自分みたいなモノが夢と希望を持っていいの? 通行人の女の子Bは戸惑っていた。
「私も、まだ自分の運命を諦めてないわ。」
と、ダイヤモンド姫が言っていると、
「ダイヤモンド姫様!」
召使い達が走ってやってきた。
「姫様、こんな名前も無いような者と会話なんかしてはいけません。」
グサ。召使いの無神経な言葉は通行人の女の子Bの心に突き刺さった。
「さぁ、濡れた服では風邪を引いてしまいます。お屋敷に戻りましょう。」
ダイヤモンド姫は2人の召使いに両腕をかかえられ馬車に連れられて行く。
「流れ星に願い事をすると願い事が叶うんだって!」
連れられて行くダイヤモンド姫が首だけ振り返り言った。
「流れ星?」
通行人の女の子Bは、夜空のお星さまのことだと思った。
カチ。馬車の扉が閉まり、ダイヤモンド姫を乗せた馬車はオシャレなお店の前を去って行った。
パチパチ。
「ダイヤモンド姫か・・・、かわいくて素敵なお姫様だったな~♪」
通行人の女の子Bは雨の日に初めて傘を差している。ダイヤモンド姫がくれたビニールの傘だ。雨に濡れないことが、こんなにも心が温かくなるものだったのだ。通行人の女の子Bは雨の日に傘をもらうなどという、優しさに触れたのはダイヤモンド姫が初めてだった。
「あなたは、 自分の人生を変えることができるのだから。」
「夢と希望は、なによりも大切よ。」
通行人の女の子Bは、ダイヤモンド姫の言葉を思い出しては幸せな気持ちになっていた。
「流れ星に願い事をすると、願い事が叶うんだって!」
ダイヤモンド姫が、最後に言っていた言葉を思い出した。
「お星さまに、願い事でもしてみようかな?」
こうして通行人の女の子Bは、願い事をするようになったのでした。通行人の女の子Bの運命が少しずつ動き始めた。
つづく。
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