第2話 「夏の計画」
直也が
新たな彼女と付き合い始めて
2ヶ月が経った頃
あのファミレスに柚子は居た
柚子の向かいに
2人の友達が座っている
柚子には
小学校の頃から一緒の
桃花と夏希という親友がいる
桃花
小柄で
女子サッカー部に所属し
大のスイーツ好き
中学生、以来
彼氏は居ない
柚子にしょっちゅう
恋人探しを手伝わせている
夏希
黒髪のお下げ髪
放送部に所属し
読書や演劇鑑賞が趣味
恋人ができたことはない
文系女子
桃花
「そう言えばさぁ
もうすぐ夏休みだよね?」
柚子
「そうだね 笑
2年生だし
今年の桃は、部活ばっかりで
夏っぽいこと出来ないんじゃない?」
桃花
「そうなんだよね〜
新チームになって
皆んな気合い入ってるし…
でもでも!
高2の夏休みに、
部活三昧なんて
女子高生としてどうなの?
って感じじゃん?!💧」
桃花はファミレスの机に
寝そべりながら、うなだれた
柚子
「夏希は、
何かやりたい事とか
予定はあるの?」
夏希
「………
図書館で…沢山…
本を読みたいかな。」
桃花
「それって
図書館と家の往復で
夏休み、終わっちゃうじゃん」
柚子
「わかんないよ?
図書館で誰か、
良い人に会えるかも」
夏希
「私は、別に…」
頬を赤らめ
恥ずかしそうに夏希は言った
夏希
「柚子は夏休み、
もう、予定入ってるの?」
柚子
「えっ?私?」
桃花
「そうだよ!
柚子こそ彼氏、作んないの?
てか、
居ないのが不思議なくらい…
私の知ってる後輩の何人かは
柚子の事、好きだ!憧れだ!
って言ってるよ?」
夏希
「桃ちゃん、
後輩君たちの気持ち
柚子にバラしちゃってるよ…?」
桃花
「あっ!そうだった 笑
でもでも、
柚子さえ良ければ
後輩達、紹介するよ?」
柚子
「いいよ。💧私は…」
柚子は
苦笑いを見せながら断った。
彼氏が欲しい。
そんな風に考えた事なかった
だって、いつも…
隣で馬鹿な話しして
目の前でご飯食べて
隣を歩いて
手は繋いでないけど…
私が遅れて歩くと
柚子?って名前で呼んで
彼は振り返りながら
私にいつだって
微笑みかけてくれた
付き合うって
恋人って
わからない。
幼馴染じゃなければ
楽に気持ちを…
とっくに伝えられてたのかな。
私より先に
アイツに好きだって言える
女の子達が羨ましいよ。
そして
そんな女の子達と
平然と付き合って
私の前で話す
アイツが
ちょっと…
憎たらしい。。
柚子?
ゆ〜ず?
柚子ってば!
柚子
「あっ!ごめん」
柚子が気づくと
2人は席を立ち上がっていた
桃花
「急に喋らなくなって
ボーッとしちゃって
何してんの?」
柚子
「えっ!?
あっ!いや!」
桃花
「部活のメンツで
駅前のカラオケに
集まってるんだってさ
キャプテンとして
招集かかっちゃった以上
行かなきゃだから
私、行くね!」
夏希
「私も、
図書館に返す本を
学校に
忘れちゃったみたいだから
戻るね」
柚子
「そ、そうなんだ!
わかった!また明日ね!」
桃花
「ちなみに今日のお茶代
柚子の奢りって話し
ちゃんと聞いてたよね?」
夏希
「ごちそうさま…です」
柚子
「えーーーっ!!?」
2人は店を出て行った
柚子だけが残った
テーブルの上で
柚子が飲みかけた
ミルクティーの氷が鳴った
あ〜あ
不必要な出費だったぁ〜
柚子は2人と別れ
1人、街を歩いていた
夏休みかぁ〜
桃達と話してたら
少しくらい
夏っぽい事して
遊びたくなっちゃったなぁ
そんな時、
旅行代理店のポスターが
目に入った
ポスターの中で楽しそうに
海で男女がはしゃいでいる
海…かぁ…
最後に行ったのいつだっけ?
よし!決めた
2人を誘って
今年は海に行こう!
桃だって少しくらい
部活、休みだろうし
夏希と2人で
桃に予定を合わせれば
きっと大丈夫
桃、喜ぶかな?
夏希と海に行くのは初めてだ!
柚子の頭の中では
2人と過ごす夏休みの予定で
すぐにいっぱいになった
日焼け止めを買うつもりで
そのまま、
ドラックストアに立ち寄った
日焼け止めを持って
レジへ精算しようと
向かっていると
柚子の足が止まる
何かを手に取り
またレジへ向かった
ちょっと遅くなっちゃったなぁ〜
柚子が歩く河川敷を
沈みかけの夕陽が染める
柚子のカバンと一緒に
日焼け止めと
黒染め用のカラー剤が入った
ドラックストアの袋が揺れていた
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