第6話 僕のあっけない最後

 僕はリタがいなくなってからも、駅のホームにいた。家に戻らず、かといって、どこへ行こうというわけでもなく、結局ベンチに座っている。

 見送ってもう、何本目になるだろうか、電車がやってくる。速度を落とし、やがて、止まった。

 ドアが開き、次々と人々が乗り降りしていく。老若男女問わず、様々だ。中には、僕と同じ学校の制服姿をした女子高生もいて。

「えっ?」

 僕は思わず目を見開いてしまった。

 彼女はあたりに顔を動かし、誰かを探しているようだ。

 僕は自然とベンチから離れていた。

「西条さん?」

 おもむろに僕は、フラれた女子の苗字を口にしていた。

 彼女、西条も気づいたのか、僕の方へ視線を向けてくる。

 距離にして、数メートルぐらい。

 僕は西条に歩み寄ろうとした。

 と、僕の背中に鈍い音が聞こえてきた。

「えっ?」

 振り返れば、呼吸を荒くした中年男性が僕の後ろに現れていた。同時に痛みが感じ始め、僕は場に倒れ込んでしまう。

「鹿島くん!」

 西条の悲鳴に近い呼び声。同時に、複数の人が先ほどの男性を抑え込む光景が視界に映り込んでくる。

 どうやら、僕は刺されてしまったらしい。

「よくないことって、また起きるもんなんだな……」

 僕は言い残すと、段々と力が抜けていき、最後には瞼を閉じてしまった。

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