第2話 わたしと死神リタの再会
翌日の朝は、あいにくの雨模様だった。
駅のホームは背広姿の人や制服の格好をした男女で混み合っていた。都心から数十分といった距離から、通勤通学としては丁度いい場所なのかもしれない。
わたしは次々にやってくる電車を見過ごしては、ため息をついていた。
「学校、行きたくない……」
自分がいるところは、家から最寄り駅のホームにあるベンチ。周りは人でごった返しているものの、常に電車の乗り降りがあるたびに、顔ぶれは変わる。昨日、リタが会ったところと異なり、ホームドアはない。
「でも、行かないと、ママやパパが心配するし……」
「だったら、休めば?」
不意に、聞き覚えがある声を耳にし、わたしは顔を動かす。
「おはよう」
「お、おはようございます」
目の前にはリタが、昨日会った時と同じ格好でベンチ前に立っていた。
わたしはすぐに、ある違和感を抱いた。
「もしかしてですけど」
「何?」
「わたし以外、リタさんのこと、見えてないですか?」
「リタでいいよ。さん付けされると、何か気持ち悪い」
リタは言うと、場で黒い鎌を急に取り出し、頭上に掲げてみせた。
だが、周りの乗降客は気づく素振りすらない。
「わかった?」
「は、はい」
わたしが返事をすると、近くを横切る人が不審げに視線を移してくる。
「場所、変わった方がいいかも」
「そう、ですね」
わたしは言うなり、リタとともに駅を出ることにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます