3章・2節

 帰り際、花山の言っていた烏の事が気になっていた透は、その烏が現れる時間に上空を見上げてみたが特にそんなものは見当たらなかった。

 きっと考え過ぎだ、警戒するに越した事はないが、何でもかんでも結びつけるのはよくない。透はそう自分に言い聞かせ、大人しく帰途についた。

「帰ったら、また再開ね」

 軽く溜息をつきながら、透は呟いた。

 休日の間、透とイツキは朝比奈で霊地と呼ばれる場所の探索と曲者への対策を施していた。対策はともかく、探索については今いち成果は上がっていなかった。イツキは前向きな事を言うが、成果が上がらない事は透を妙にもやもやさせた。

「あれ?」

 日が沈みかけ辺りが暗くなり始めた頃、透は自宅の門の前に人影があることに気付いた。少し近付くと、それは女の人である事が分かった。

 女は少しの間家を見上げた後、門の前にあるインターホンを押そうとしていた。透は急いで門の前まで駆け寄る。

「すみません、ウチに何か用ですか?」

 透が話しかけると、女は振り向いた。

「あ」

 透は思わず声をもらした。

 腰の上まである黒髪は艶々としていて生糸のようであり、その顔立ちはまるで一流の職人が丹精込めて作ったかのように無駄のない、端正な美しさを湛えていた。

「ウチ、ということは貴方が滋丘さん?」

「はい。滋丘透と言います。あの、貴方は」

「私は月隈姫子と言います。よろしくね、滋丘さん」

 そう言って女はゆるりと頭を下げる。その仕草がとても優美で透は思わず見とれてしまっていたが、はっと気付いて慌ててお辞儀をし返す。

「それで、何の用なのでしょうか?」

「あら、さっきもそうだけど妙なことを言うのね。私はここの召使い、イツキと言ったかしら、その子から連絡を受けて来たのだけど、貴方はご存知ない?」

「え」

 透はその事を始めて聞いた。そんな事はイツキからは一言も聞いていなかった。

「その様子だと知らないようね。じゃあごめんなさい。急な訪問で驚かせてしまったわ」

「いえ、そんな」

「本来ならまた日を改めて、と言いたい所だけど、生憎話が話ですし、これからお邪魔させていただいてもよろしいでしょうか?」

「えと、あ、はい。大丈夫です」


「ちょっと、どういう事?」

 姫子を伴って玄関へと向かう間、透は念話テレパシーによってイツキに語りかける。するとイツキはそれに『まあ、積もる話は後で。一先ず、客間へと誘ってくださいませ』と答えるのみであった。

 何も答えないイツキに苛立ちを覚えながらも、透は姫子を家にいれ、イツキの言った通りに客間へと誘う。

「ようこそ。お待ちしておりました」

 そこには、ワイシャツにベストの出で立ちをしたイツキが立っており、姫子が入るや否や彼女をソファに案内する。

「お二人とも、珈琲でよろしかったでしょうか?」

「ええ。ありがとう」

「……うん」

 姫子はごく自然な笑みで答えるが、透は目も合わせず少しむすっとした面持ちで答えた。

「では少々お待ち下さいませ」

 そう言うと、イツキはキッチンへと向かった。

 一体何のつもりなのだろうと、透はその後姿を見送った後、ふと、姫子と目が合った。

「あの子は一体。おそらく電話を寄越した本人と同一人物のようですが、お手伝いという感じではありませんね」

「それはその、ですね」

 一体何処まで話せばいいのだろう、と透は考えた。姫子は一体何処まで知っているのか。おそらく、ここに来る以上は滋丘がどういう家系なのかを理解しているのだろうと思うが、そもそもそれだけで彼女が一般人である可能性も十分にあり得た。ただ単に、何か怪異の類に悩まされている一般人という線。

「大丈夫よ。私は魔術のではないけれど、何も知らない一般人というわけでもないわ。だから遠慮せずに話してくれても結構よ。それで貴方を気味悪がったりしないから」

 姫子は微笑む。そう言われて透もほっと安堵した。こちらの事情を察してくれたのであろうと内心で姫子に感謝しながら、透は口を開く。

「使い魔、の類です」

「使い魔、あの少年が?」

「はい。といっても、今は互いの目的が合致しているから協力し合っているだけですが」

「そう、それにしては主人を差し置いて随分とマイペースに思えるけど」

「あんまり主従って関係じゃないかもしれないです。おっしゃる通り勝手に行動しますし」

「お待たせしました」

 まるでタイミングを見計らったのようにイツキは現れ、二人の会話は中断された。


「それでイツキ。どういうつもりかしら」

 コーヒーと菓子を二人に配膳し終えた後、横に控えまるで召使いのようにたたずむイツキに透は語りかけた。

「いえ、これはもう私達だけでは荷が重くなってきたのかと思いましてですね。協力者として彼女をお呼びしたわけです」

「どういうこと。話が見えてこない」

「私からお話します」

 姫子が言った。

「その前に一つ確認しておきたいことがあります」

「確認しておきたいこと、ですか?」

「ええ、念のために。滋丘透さん、貴方が今の滋丘家の当主ということでよろしいかしら」

「えっと、それは」

 透は目を逸らす。祖父の家に住んでいるのだから、容姿年齢等の点を置いておくにしても、自分は当主に見えなくはないのだろう。しかし、実際には透は当主ではなかった。

「成程。答えあぐねているということは違う、ということかしら」

 透はその問いに弱々しく頷いた。

「ごめんなさい、責めているわけではないの。ただ、確認をしておきたかった。でもそうすると」

「今は当主はいません。先の当主だった祖父の春之助は数年前に逝去しました。今は、分家の者が代理を務めています」

「そう、お爺様が亡くなった事は知っていたけど、そんな事になっていたのね」

「祖父を、知っているんですか?」

「ええ、月隈家が昔お世話になった事があるの。後私も個人的に色々とお世話になったわ」

「そうだったんですね」

 滋丘家が姫子の家と付き合いがある、あるいは関係があるということを透は聞いたことがなかった。もっとも、透はそんなに家の付き合いなどに詳しいわけではなかったが、ひょっとしたら家単位ではなく、祖父個人のつながりも色々あったのだろうと透は推測した。

「そしてそれは、私がここに来たことと関係があります。聞けば貴方達はタルタロスというもののために見慣れぬ風体の男や土着の魔性、鬼に襲われたとか」

 透はイツキを横目で見る。イツキは苦笑いしながら両手を上げて不可抗力だと言わんばかりの顔であった。

「ええ、確かに襲われました。ここ最近の出来事は信じられない事ばかりです」

 正直目眩めまいがする出来事ばかりだと透は思った。透は確かに魔術、呪術の類に幼くから触れてきた。しかし、それはあくまで片足を突っ込んでいた程度に過ぎなかったのだ。それが、途端に全身を神秘の類に汚泥させてきたような連中に襲われた、その衝撃は透に自分の世界の認識を改めさせるのに十分な体験だった。もし自分が本当に只の一般人であったなら、そう思うと透はぞっとした。

「そう。やはり貴方達はのっぴきならない状況に立たされているようね。そんな貴方達の負担を少しでも減らせるといいのだけど」

「どういう事、ですか?」

「私に、貴方達を手伝わせてはくれませんか?」

「え」

「具体的には、貴方達を襲う不逞の輩から貴方達をお守りいたします」

「あの、月隈さん」

「姫子でいいわよ」

「はい、では姫子さん。その、守るとは一体どういう事でしょうか?」

「そのままの意味よ」

「あの」

「どうしました?」

「とてもお気持ちは嬉しいです。一人でも協力してくれる人がいたら、それはとても助けになります。ですが、今起きている事はその、とても人間の手に負えるものではないんです。魔術師だとか、そういう問題ではなく」

「つまり、私では足手まといになるという事?」

「……はい。仮に姫子さんが古武術の達人だとしても、です」

「ねえ、透さん。ちょっと何も言わずに私を見ていてくれませんか?」

「はい? ええと、はい」

 わけも分からず透は姫子を見る。姫子はそっと人差し指を額に押し当て眼を閉じる。

 十秒が経過しようとした頃、透は我が目を疑った。

 姫子の髪が少しずつ黒から白に変色していったのだ。

「私の先祖は歩き巫女の様な事をしていたと伝わっているわ。だから、月隈家には神降ろしに関するノウハウがあるの」

「ではこれは、神降ろしという事ですか」

「そうね。勿論、見世物をするためだけにこれを見せたわけではないわ。貴方に私が冗談を言っているわけではない事を伝えるため」

「はい。ですがすみません。生意気に聞こえるかもしれませんが、まだ足りないです」

「つまり、もっとはっきりした証拠を見せろと、そういうわけね」

 透はこくりと頷く。

「分かりました。そうとなれば腕試しといきましょう。イツキ君、申し訳ないけど、少しばかり付き合ってもらいます」


 透の家の庭は住んでいる当人でも呆れる程の広さがあり、狭苦しい筈の住宅地の中にあるにも関わらず数十人規模でのささやかなホームパーティーが出来るくらいであった。

 透は家の庭の四方に文字の刻まれた紙を置き、それを手頃な石で飛ばないようにする。既に日は沈んでしまっているが、家からの灯りのお陰で庭は比較的明るかった。

「防音をしました。この庭の中なら、好き勝手暴れて頂いても結構です。音は一切外に漏れませんから」

「ありがとう。魔術って便利ね」

 姫子は言った。彼女は木刀を手にしている。

「そうですね。痒い所には手が届くから、そこはいいです。といっても、ほとんど現代の道具とかで代用が効いてしまうのですが」

 そう言って透は苦笑いする。実際、以前はそういう利便性の観点でも魔術や呪術の需要はあったのだと聞くが、今は技術の発展に伴って必要とされなくなり、それを専らにして生計を立てていた人間達は軒並み廃業したという。もっとも、替わりが少ない事をいい事にぼったくりの値段を請求してくる者もいたというのだから、一概に同情出来るものでもなかった、と透は以前祖父の知り合いが言っていたのを思い出す。

「でも、本当にいいんですか」

「ええ。透さんを納得させるにはそれしか方法がなさそうだもの」

「分かりました。では、もう何も言いません」

 そう言いつつも、透は念話テレポートでイツキに「怪我させないように」と釘を刺すと、イツキからは「承知しました」とだけ返ってきた。

「勝敗は簡単です。相手に参ったと言わせる事。なるべく寸止めでお願いします」

「ええ、勿論よ。貴方の大事な使い魔を傷付けるのは忍びないし」

「準備はいいでしょうか?」

 透が尋ねると、イツキと姫子は頷いた。

「よろしいようですね。では、始め!」

 透が大きく声を上げる。二人は、互いに睨み合ったまま、微動だにしない。

「どうぞ」

 イツキが言うと、姫子は薄い笑みを浮かべた。

「では、遠慮なく」

 姫子の髪が先程のように白くなっていく。

 何て綺麗なんだろう、と透は思ったが、次の瞬間、そんな事に見惚れている場合ではないと思い知らされた。

 姫子は瞬きもしない間に、イツキに斬りかかっていた。距離にして三メートル程ではあったが、人間の踏み込みにしては余りに速過ぎる、と透は感じた。

 神霊を降ろすというのは、あくまでその神霊が持つ特異な能力を借り受けるだけのものだ。それを本人のスペックの範囲内で行使する。つまり、本人の身体能力や魔力が高くなる訳ではない。

 しかし、姫子の身体能力は人間離れしていた。

 イツキは持っていた木製の短剣でそれを受け止める。

 二人は何合か打ち合った。派手に立ち回る事はなかったが、透はそれに釘付けになった。

 多分、剣豪の果し合いというのはこんな感じだったのだろうと透は感じた。最早、悔しいという気持ちも起きない。それだけ、自分と彼らの違いが理解出来たからだ。次元が違う、とでも言うのだろうか、陳腐な表現だがその言葉がしっくりくると透は感じた。

 互いの得物が目まぐるしく軌跡を描き続ける。風を切る音と、地面を擦る音がまるでリズムのように聞こえてくる。

 透は固唾を飲んでそれを見守っていた。もうどれくらい経ったのか分からない。数分は経過したようにも思われるがあるいは、まだ数十秒しか経っていないのかもしれない。

「ん」

 何か埃のようなものが目に入ろうとしたので、透は目を一瞬だけ閉じた。

 しかし、再び目を開けた時には全てが終わっていた。

「参った参った。こりゃ敵わん」

 イツキの喉元には、姫子の木刀が突き付けられていた。イツキは両手を上げており、得物の木製の脇差は既に地面に落ちている。

「信じられん。一体何を食べたらそんな人間離れした動きを出来るのかな」

「お世辞はいいわよ。それに、これは私の力とは言い難いし、あまり自慢するものではないわ」

 そう言いながら姫子は、その木製の刀をそっと引き、透の方を向いた。

「透さん。どうかしら。模擬試合だけど、少なくとも貴方の従者は負けを認めたわ。それでも、やっぱり私は足手まとい?」

「いえ」

 透の頬を一筋の汗が伝っていく。そんな事は言えなかった。そんな事を言ってしまえば、自分こそ足手まといだったからだ。

 姫子は透に近付き手を差し出した。

「じゃあ決まりね。滋丘透さん。改めてよろしくお願いいたします」

「は、はい。よろしくお願いします」

 透は戸惑いながらもその手をしっかりと握り返した。


「月隈さんは市内に住んでるんですか?」

 居間に戻った透は反対のソファに座っている姫子に尋ねた。いつ片付けたのか、イツキが築いていた筈の本の城は消えて跡形もない。

「いいえ。京都に住んでるわ。故郷はまた違うのだけど、大学がそっちにあるから」

「確かK大学、でしたか」

 イツキが言うと、姫子は頷いた。

「ええ。よく知っているわね」

「申し訳ありません。調べさせていただきました」

「え、あそこ……姫子さん、是非とも今度勉強を教えてもらいたいです」

 透は思わず身を乗り出して言うと、姫子は笑った。

「そうしてあげたい所だけど、流石にそれは無理ね。そこまでの時間は取れないわ」

「成績優秀で美人となると、直截ちょくさいに言ってやはりモテるのではないですか?」

 イツキの問いに姫子は首を振る。

「あら、ありがとうイツキ君。でもお生憎様だけど、誰かから求愛を受けた事なんてないわ。きっと私には魅力というものがないのでしょうね」

「え、そんな事ないですよ」

 透は本心からそう言った。逆だ、皆高嶺の花だと思って誰も踏み出せなかったのだろう。

「そうですね。男というものは、魅力がありすぎる人間に対して自然と気後れしてしまうものです。大方、こんな美人で才女な御仁と自分とではおよそ釣り合わない、と踏んで誰も面と向かって求愛を出来なかったのでしょう。姫子さん、これは推測ですが貴方は貴方のいない所ではいつも美人番付、などと銘打った男の下世話な猥談に上がってたものかと」

「あら、もしそうだとしたら私も捨てたものじゃないわね。でもそれはそれです。やっぱり、もっと幼い頃から人に対して魅力ある振る舞い方とかを勉強するべきだったと思うわ。詰まる所私はそんな高尚な人間じゃないですよって。お陰様でこのざまなんだもの」

 そう言って姫子は苦笑いする。

 少し信じられない、と透は思いながらも仮に自分が男で彼女に惚れていたら告白するのか、頭の中で考えてみたがこれにはすぐに結論が出た。

 無理だ。自分は絶対に告白しない。だって絶対に断られるもの。いや、それ以前に自分なんかが彼女に告白するのも失礼だと考えるだろう。いくら何でも卑屈過ぎるのではないか、と自分でも思うが、しかし、こうして目の前で対面すると、そう思わざる負えないものを彼女は持っていた。

 出来た美人はもてない。透の頭にそんな一見矛盾した言葉が浮かんだが、それは何だか姫子に失礼だと思い、一生懸命頭から振り払った。

「あの、そういえば」

「どうしたのかしら、透さん」

「余計なお世話かもしれないのですが、学校は、あの、いいんでしょうか?」

「そうね」

 姫子は少しだけ考える素振りを見せてから、顔を上げた。

「お言葉を返すようで悪いのだけど、貴方こそ学校はいいのかしら?」

「それは」

 指摘されて、透は少し口ごもる。問題ないかと言われたら、なくはない。

「大学生というのは学部やその他の状況によるけど、比較的時間の融通は利くものよ。少なくとも高校生よりはね。だから私のことより、貴方の方が心配だわ。今のことが大事な事なのは分かっています。優先順位としても最も高い位置付けに来るだろう事も分かります。ですが、それ一辺倒というわけにも行きません。少しはこれからのことも考えた上で行動しなさいな。タルタロス、に関する件が終わっても貴方の人生は続いていくのだから」

「忠告ありがとうございます。ですけど、私なりに破綻をきたさないようやっているつもりです。この件だってせいぜいが二週間か長くても一ヶ月。遅れを取り戻すのは出来ない事ではありません。それに、中途半端に首を突っ込んで命を落としでもしたらそれこそ目も当てられません」

 そう言って透は軽く微笑む。

「確かにそうね。ごめんなさい、余計なお説教をしてしまったわ」

「いえ、気遣っていただくのは嬉しいです」

「何はともあれ、透さんが真っ直ぐに育っていて良かった。これなら春之助さんも安心ね」

「そんな、恐縮です」

「それじゃあ、今日の所はこれでお邪魔させていただくわ。遅くまでごめんなさいね」

 姫子はソファから立ち上がりながら言った。

「いえ、そんな」

 入り口の方へと歩いていく姫子の見送りをしようと、透もソファを立ち上がる。

「あ、そうでした」

 姫子は入り口付近で立ち止まって振り返り、透の元へと歩いてきた。

「諸々の連絡先を交換しておきましょう」

「あ、そうですね」

 そう言って二人は互いに携帯を持ち出し、連絡先を交換する。

「私も付きっきりでいるわけにはいかないけど、何かあればいつでも呼んで頂戴ね」

 といっても、シャワーを浴びてる時は流石に少し遅れるかもしれないけど、などと冗談なのか冗談ではないのか曖昧な事を言い残して、姫子は滋丘家を後にした。そういえば姫子はホテルを取っており新幹線で来たと言っていたが、スーツケースもボストンバッグも持っていなかった事を透は思い出した。

「トオル、月隈財閥というものをご存知ですか?」

 姫子を見送った後、唐突にイツキは切り出した。

「月隈財閥? それってひょっとして」

「ええ。月隈姫子女史の家がかつて築き上げたものです」

「そうなんだ。まあでも、あの人がそんな家系の人間なのも納得よ。今更そう言われても驚きもしないわ」

「確かにそうですね。といっても、月隈財閥というのは地方財閥の一つではあったのですが、まあ過去の存在です。戦後のごたごたでその後斜陽の道を辿りましたから」

「成程ね。でも、何でそんな事を私に?」

「単純な事です。トオル、貴方の素性だけ相手に明晰というのも何だか面白くはないだろうと思いましたから」

「意味がわからないわよ、全く」

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